ひがし茶屋街のメインストリートから一本裏手にある、茶屋街に溶け込む町家造りのビストロ。格子戸からちょいと覗き込めば、ワイングラスを傾ける大人たちがカウンターに腰を下しています。店内のライティングは落とされムーディーな雰囲気で、8.3mもあるアフリカ産ブビンガの1枚板カウンターが存在感を放っています。オーナーシェフ山田寿人さんは寡黙な職人肌で、精度の高い仕事とセンスが生み出す美味しさに信頼が厚い。どれを注文しても外れがありません。
料理は2人でシェアすると程よいポーションですから、デートでは親密度をさりげなくサポートしてくれるでしょう。1人訪問ではボリュームを調整してくれます。
2021年訪問の料理
(何度も訪問しているので順不同で紹介しています。)
2020年あまり訪問機会なかったのですが、2021年に再び通い始めてます。「やっぱりさすがだな」というのが率直な感想で、どれを取っても期待値を上回ってくるところに実力の高さを再確認しました。
●カリフラワーのムースウニ、柔らかいコンソメのジュレで
カリフラワーのムースはクリームチーズくらい濃厚で、ウニと好相性。コンソメもしっかりと重厚でマッチし三位一体となっている。
●本日の鮮魚のカルパッチョ
軽く昆布締めをした車鯛のカルパッチョ。こういう一皿も確実においしい。
●皮目をカリッと焼いたサクラマスの燻製、クレソンとりんごのサラダを添えて
料理名通り、皮目はカリッとしていて身はレアに仕上げてありとろけるコントラスト。そこにスモーキーな風味が乗る。
●アマダイのポワレ
●ホタルイカとクレソン
ホタルイカの肝が口の中でぴゅっと飛び出して濃厚なソースとなりパスタに絡み、クレソンが味を引き締める。
●水菜とあおさ海苔のペペロンチーノ、カラスミ風味
人気の定番メニュー。運ばれてくるなりあおさ海苔の海の香りにふわっと包まれます。パスタは、ピンッと跳ね返すようなベストなアルデンテ。削ったカラスミが旨味と軽やかな塩気を添えています。にんにくが割としっかり利かせてあり、また、茗荷も入っているので、一見香りの強い素材が多めに感じられましたが、それらが良いバランスで調和しており、絶妙なおいしさで次の一口が止まりません。
●仔牛のカツレツ
これはすごい一皿でした。まずは断面を見てジャストな火入れに嬉しくなります。
ソースはなく塩で味わうカツレツなので、最初は味が足りるか心配でしたが、いやいやこれは塩で味わうべき一皿。肉質はやわらかくキメ細かくて噛むたびに快感に襲われる。ピュアな味わいの仔牛の持つ甘みが塩でグッと引き出されています。なんておいしいんだろう。
脂っ気のもなく完全にタイプのやつ!
●ラベンダー風味のクレームブリュレ ピスタチオのアイスクリームを添えて
“ラベンダー風味”に魅かれて注文。
クラシックタイプの平皿のクレームブリュレで、カスタードとフランベした飴の層が最後まで同じ比率で味わえる。カリカリとした食感を感じるたびにラベンダーの風味が口の中にふわっと広がる。
2020年以前の訪問
●フォアグラたっぷりのパテ・ド・カンパーニュ
●帆立貝とアカイカのグリル 温かいサラダ仕立て
●生ハムとパルミジャーノチーズのサラダ
●梅貝とキノコのエスカルゴ風
●本日の魚料理 金目鯛
ポワレした金目鯛を濃い目の甲殻類のソースで。
●香箱ガニのロワイヤル
フランに香箱ガニの殻で取ったソースをかけた冬のメニュー。凝縮した甲殻類のエキスが口中に押し寄せ、舌を撫でる外子の粒々も美味。
●茨城産 梅山豚(メイシャントン)の肩ロースのロースト
梅山豚(メイシャントン)は特に脂身のおいしさは格別で、甘く、そして後味はあっさり。この料理はリョーモンさんの火入れが完璧で、締まった身もふるふるした仕上がり。口の中で脂肪が溶け、ソースと合わさることで、口内で極上のソースが完成します。
●牛テールの赤ワイン煮込み
定番メニューのひとつで、見た目に派手さはないですが、舌の記憶にガツンと残るおいしさ。赤ワインに肉の旨さを一旦溶かし出し、再度染み込ませることによって、この上ない深みと横幅のある味わいが生まれています。
●クレームダンジュ マンゴーのシャーベット仕立て
●シナモンとアーモンド風味のブランマンジェ、林檎のスープ仕立て