福井で人気を集める日本料理店。店主は滋賀県出身の宮﨑洋彰さん。
福井の地物食材で奏でる日本料理のコースの流れに、キャビアなど洋の食材使いもあり。それらがアクセントにも感じますが、オリジナリティーを発揮しながら和に溶け込んでいて良いと思いました。店内は凛とした雰囲気にL字カウンターのみで、大将との距離感も近くライブ感ある造りです。
・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」1ツ星獲得(2021年5月19日発表)
【紹介項目】
2021年7月3日
約1ヶ月半ぶりの訪問。今回は洋食材の組み合わせではなく、福井の地物食材と大将の出身である滋賀県の食材をシンプルに落とし込んだお料理が中心でした。
いよいよ鮎の季節が始まり、九頭竜川の活鮎を準備してくださいました。印象的だったのは鮑料理で、もみワカメの磯の香りが素晴らしかった。
●前菜
福井小浜船上活締め甘鯛、スナップえんどう
●お造り
若狭マコガレイ、若狭赤雲丹、河野のアオリイカ、マコガレイ肝醤油
透明感あり美しいマコガレイは、ムチっと跳ね返す弾力が美味。赤雲丹は夏の時期の福井のスペシャル食材で、濃厚な甘さと上品な後味が特徴的。
●お吸い物
琵琶鱒、冬瓜、大野オカヒジキ
お椀には三国花火が描かれており、見返しにも大輪の花火が咲いていました。
●金時草白和
●九頭竜川の鮎塩焼き、自家製バチコ、京都黒枝豆
福井県を流れる九頭竜川の活鮎を準備してくれました。
目の前で串打ちをして炭火焼に。
旬の地物、焼き立てをホコホコと頂く喜び。やや大きめのサイズだったので身だけ頂きました。
●越前町鮑
一番印象深かった一品。立派な活鮑を薄造りにして、葛をたたいてしゃぶしゃぶにして、もみワカメ入りのとろみあんをかけて。もみワカメの磯の風味が鮮烈で、口の中に入れた途端、潮騒が思い起こされました。
●琵琶湖の天然鰻
●石川の毛蟹
蓮の葉からじゅんさいを毛蟹ともずくにスルリと落として酢の物として。初夏らしい涼やかな演出で。
●若狭牛いちぼ、黒ニンニク
●お食事 太刀魚竜田揚げと新生姜ご飯
ここまでで満腹感ありましたが、竜田揚げに食欲がそそられて箸がスイスイ進みました。
●デザート
メロン、白桃、ブルーベリーをシャンパンのジュレで。
●きな粉ようかん
とろりと口溶け良いようかん。きな粉の香ばしさが余韻に膨らみます。
2021年5月21日
●自家製キャビアの冷製パスタ
キャビアをのせた冷製パスタが一品目という、まず最初に驚きを置く。これからのコースを想像・期待させる料理から。
白いソースは天然ふぐの白子で、もったりとしていて品のある味にまとまっており、そこに生とんぶりとキャビアが溶け合い美味。キャビアは岐阜県中津川のチョウザメで作った自家製。自家製キャビアの最大の良さと言えるのは、塩分濃度を低く抑えることができること。こちらは2.6%だそうです。そしてチョウザメの卵の繊細な味とやわらかさがちゃんと伝わる。
●サクラマス
サクラマスには、粒マスタードと、福井県河和田の伝統調味料である山うにをそれぞれ添えて。山うには塩うにに見た目が似ていることでそう呼ばれ、柚子や唐辛子などで作られているそうです。
●お吸い物
椀種は高級魚の白甘鯛。柔らかい身には葛粉を打ってあり、中はレアな状態で仕上げてあってまさにとろける美味しさ。
茄子、わかめ、えんどう、茗荷。
●若狭アワビ
若狭のアワビを蒸しアワビで。合わせた濃厚な肝ソースは骨格がしっかりしていて、和でありながらなんだかフレンチらしくも感じました。
アワビを頂いた後は、肝ソースに赤酢シャリを加えてくれて二段階の美味しさ。塩水うにと共に、福井産のスガモという海藻を海苔のように干したものを炭火で炙って添えてくれたのですが、口の中いっぱいに広がった潮騒を思わせる風味が素晴らしく、肝ソースに負けないインパクトでした。
●タケノコ
福井宮崎村のタケノコ、春キャベツとふきのとうソースで。
●のど黒、山椒味噌幽庵焼き
●じゅんさい
じゅんさいはアメーラのトマトエキスに泳がせて。こちらも和であり、どこか洋も感じさせる。
●若狭牛サブトン
福井県のブランド牛である若狭牛のザブトンをしゃぶしゃぶにし、タケノコを巻いて。しゃぶしゃぶで脂っ気を落として花山椒で引き締める。また、巻いてあるので厚みが出ていて、より一層やわらかい弾力が強調されていました。
●お食事
アオリイカのゲソ、新生姜と山菜の炊き込みご飯。お米は福井池田町のコシヒカリ。
●宮崎マンゴーの大福
宮崎マンゴーの太陽のような元気ある味わいが際立つと思いきや、マンゴーのジューシーさにやわらかい求肥が同調しており一体感がありました。