「茶寮 杣径(そまみち)」能登の塗師 赤木明登さんが山奥にオーベルジュを開業。唯一無比の料理と世界観

料理: その他: ポイントについて
茶寮 杣径 (さりょう そまみち)
住所
営業時間
定休日
価格帯
訪問回数 1回

能登の塗師 赤木明登さんが、輪島の山奥にオーベルジュを作られました。
(現在はプレオープンとしての営業なので、店舗詳細・点数などはグランドオープンになってから追記しようと思います。)

赤木さんの工房「赤木明登うるし工房 有限会社ぬりもの」は輪島の山中にあります(石川県輪島市三井町内屋ハゼノキ75)。携帯電話は圏外という人里を離れた場所で、自然と一体化した山小屋で作品の製作をされています。

今回開業するオーベルジュも、同じく能登の山の中にポツンとあるのですが、工房からは車で10分強ほど離れた門前方面にあります。
赤木さんは、“人生の旅人がようやく辿り着いた森の中の仮住まい”と表現。
建物は2階建ての日本家屋で、1階部分はまだ工事中。以前からご友人を迎えるゲストハウスとして使用していたお家なのだそうです。
現在はプレオープンのような形で営業しており、グランドオープンは2023年の予定です。

塗師 赤木 明登(あかぎ あきと)氏
1962年岡山県生まれ。中央大学文学部哲学科卒業後、世界文化社の編集者を経て1988年に輪島へ。輪島塗の下地職人・岡本進のもとで修業後、1994年に独立。現代の暮らしに息づく生活漆器「ぬりもの」の世界を切り拓く。ドイツ国立美術館「日本の現代塗り物十二人」に選ばれ海外でも高評価を受ける。2004年にはドイツ国立ディ・ノイエ・ザムルング美術館に作品が収蔵されるなど、国内外で高い評価を受ける。

赤木さんの頭の中を可視化させたようなオーベルジュで、尖っているけど心地良く、どこにもない唯一無比の世界観です。万人ウケはしない、好きな人だけ来れば良い場所だと思います。ここはこれで良いのです。

【紹介項目】

杣径の空間

設計士は中村好文さん。
まず入って驚くのは、天井まで届く圧巻の本棚。なんだか宇宙を感じる。お部屋は2階に2部屋あり、螺旋階段を登って行きます。


お風呂は片方のお部屋は浴槽が漆塗りなのです(もう一部屋はシャワー室のみ)。漆塗りは、食器でも口当たりの優しさが特徴的ですが、なるほど肌触りも良い。
床に漆を引き、足裏からも漆の柔らかな質感が感じられます。

杣径の料理

料理を担当するのは、北崎裕さん
金沢「六味一滴」で腕を振るわれてから、自遊人グループ「里山十帖」全店の総料理長を務められ、もっとご自身の料理を突き詰めたいという思いから奥能登に来られました。

料理はとても独特で、摘み草料理でありながら、江戸時代末期以前の料理で表現してあります。
お砂糖とお醤油は使用せず、甘味はどぶろくなどを使い、旨味は塩で引き出したりと、いつもの料理とは違った方向性です。
何も知らずに食べると物足りなく感じてしまうのだけど、その趣意を知った上で食べると、キャッチできる情報と哲学の広がりが出て感動が違ってくる(事前に説明がほしい)。出汁には鰹節も使用していないので、立体的というよりは包容力のある旨味が広がります。

どことも比べられない、ここだからこその唯一無比のお料理です。

●山の湧水
折敷は、伝統的に魔除けとしても知られる麻の葉文様が彫られています。

●お花の天ぷら
近隣で採れた、ウドの花・三つ葉の花・オクラの花を天ぷらに。野趣に溢れ、健やかな苦味が細胞を起こしてくれる感じ。珠洲の天然塩で。

●赤玉ねぎ
蒸した赤玉ねぎを、赤玉ねぎとどぶろく、ビーツのソースで。酒粕のような優しいコクが、赤玉ねぎのジュと合わさる。

●縞海老
お醤油は使わないので、縞海老お造りも味の添え方が独特。ビーツ、コリアンダーオイルの個性的な風味で。

●鱸の潮煮、アオサ

●サザエ
サザエを酒粕と白味噌で和えて。潮騒感じる能登らしい味わいで美味でした。金時草と。

●鮑お粥
優しいお粥に、鮑に味付けとして添えた塩味が海の香りと共にグラデーションを描きます。

●珠洲の岩牡蠣

●サゴシの塩焼きトマト

●塩おでん バイ貝、南瓜、トマト
炊き合わせとしておでん。お醤油を使用しないので、おでんも塩おでんとして。冷やしなので味が落ち着いていて食材の個性が感じられる。

●緑ナス、自家製ハム
ギュッと身が詰まった緑茄子はシルキーで旨味がしっかり。
器にも注目で、銀杏の生地が紙のように薄くて美しい。

●そうめん
そうめんの原型になったと言われる、奈良時代に中国から伝えられた手延麺「索餅(さくべえ)」です。機械では出せない波打つ舌触り。
つゆは冷たいいりこ出汁で、旨味にミネラルを感じる涼しい美味しさ。能登でよく食べらるアカモクという海藻と共に。
涼やかなガラスの器は、艸田正樹さんの作品「冷たい水」で。

●デザート
巨峰、水寒天

 

朝食は、「月とピエロ」さんのパンとフルーツが準備してあって、お好きな時間にどうぞというスタイル。この自由な感じ、とても好きです。