福井県で注目を集めるすし店。今回のミシュランで福井県がエリアに加わりましたが、同店は初登場で2ツ星を獲得しました。
大将の塚田哲也さんは、札幌「すし善」後に、2代目としてお店を継承。寡黙で温和な方でありながら、太陽のように堂々としたがオーラがあって、所作も美しく、身を任せて味わいに浸れる頼もしさがあります。檜の一枚板が醸し出す凛とした雰囲気に、大将が生み出す独特な空気が重なるのも素敵。
魚はこれまでは他県の良いネタも使われていましたが、これからはできるだけ福井や北陸の地物に焦点を当てていきたいということで、ますます人気に拍車がかかる予感しかしません。福井の方にとっては誇りとなる名店だと思います。ちなみにマグロは「やま幸」さんから。
シャリのお酢は赤酢3割で米酢7割。最初に酸味が来て、米の輪郭を感じながら赤酢のコクが広がり余韻していく。シゴトの丁寧さが光り、ひとつひとつに存在感と品、そして色気を置いている。
春、夏、秋、冬と季節ごとに訪れたい、通って探求したい一店。
・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)
ネタ箱は木製でもガラス製でもなく、雅やかな雰囲気を漂わせる越前漆器。
下駄は、越前唐津 三好建太郎さんの波打ち際を表現した作品。
【紹介項目】
2023年8月5日 夏:越前町 黒鮑、石もずく
今回とても印象的だったのは、夏の王様食材であるアワビ。越前市の黒アワビが、食材としても素晴らしいし、火入れも秀逸でした。
ちなみに7月と8月は底引き網漁が行われておらず、おすし屋さん(日本料理店も)苦しい時期なのですが、だからこその工夫が興味深い時期でもあります。
あと特筆したいのはマグロ。今夏は全国的にマグロが超不漁で、東京の名店にもほとんど無い状態だそうですが、それでも「やま幸」さんから入荷あるという信頼の厚さよ。限られた希少なマグロを頂けました。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
●常山 夏酒スパークリング
●もずく福井
食感の良い石もずくを、福井の名物おろしそば風で。大根おろしとひんやりお出汁で、もずく酢とはまた違うオリジナルの美味しさを置きます。
●アラ 輪島
●黒鮑 蒸し 越前町
7年ものの特大で、1個500gほどあります。
風味が本当に素晴らしく、火入れもパーフェクト。最高の食材を最高の火入れで、シンプルな調理法で食材を活かす最高の調理法。極上の風味、絹のような舌触りと歯が喜ぶ食感が素晴らしい!
●煮蛸 越前町
●のど黒ご飯
焼きのど黒から滲み出したサラッと美味しい脂が、酢飯をコーティングする美味しさよ。それにしても身の厚いのど黒で、最初はシャリが見えなかった。
(にぎり)
ケンサキイカ、キンメ、マグロ漬け ボストン、フエダイ、富山エビ(ボタンエビ)、縞鯵、新子 3枚付、ホッキ貝 炙り、雲丹 キタムラサキウニ 積丹、ネギトロ、玉 他
(※写真は一部)
フエダイは別名アブラダイとも言われており、脂のりが良くて噛めば噛むほど味が深まり美味。ホッキ貝は炙ってあり、シャクシャクとした食感と共に甘さが広がる。
味が濃くなるピーク時期の積丹きたムラサキウニは、風味豊かな有明海苔で軍艦に。有明海苔も現在とても不作だと言われますから、食べられて有難い。
十兵衛さんは、回を増すごとに迫力が増している印象です。
2022年9月17日 秋:海女さんの塩雲丹、ボタンエビ、新いくら
9月2回目の訪問。ネタは(個人的に全然かぶってて良かったのですが)、9月初旬に赤雲丹が終わって、お初の食材も食べられました。海女さんが作った塩雲丹も印象的だった。
夏の赤雲丹、冬のカニやブリなどの王様食材がない、仕入れが難しい今の季節は大将の工夫も味わいどころ。とても素晴らしい回でした。
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(おつまみ)(※写真は一部)
・いくら玉締め
旬ど真ん中のこの時期、何度でも食べたい。キラキラ輝くいくら、今だからこその皮が薄い繊細な美味しさ。
・富山えび、三国のアラ
・富山えび頭
お造りで身を頂いた富山えびの頭は、ふんわり蒸して一番美味しいところまでしっかり頂きます。内子までほくほくとして、抜群に美味しかった。
・鰹漬け
・黒ムツ 藁焼き
・塩ウニ、カラスミ、甘海老
塩ウニは三国安島の海女さんが作ったもの。塩分濃度が通常15%のところ10%に抑えてあり、骨太な旨味が強調されます。
カラスミも、絶妙な塩気と旨味の奥行きといい粒感といい、パーフェクトでした。
・海うなぎ白焼き
(にぎり)(※写真は一部)
・ヒラメ昆布締め
・メイチダイ
・マグロ赤身
・小肌
・剣先イカ
・サワラ
・甘海老
・ニシン
・穴子
・トロ 青森大畑
・玉
2022年9月3日 夏:赤雲丹、ハタしゃぶ、新いくら
今回印象的だったのは、夏の福井のお宝食材である赤雲丹が食べられたこと。もう名残だったのですが、キープしてくれてあって感謝でした。初物の新いくら、ハタしゃぶも素晴らしかった!握りは個人的に鱚が好きでした。
季節は夏から秋へ。冬に向けて王様級食材が出ますが、今の時期は大将の工夫も味わえて好きです。
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2022年5月6日 春:赤雲丹、サクラマス、甘海老
昼に夜のコースでお願いしました。
できるだけ地物で構成してくれたのがありがたく、福井に来た甲斐を感じました。蟹や鰤など大物の王様食材がある時期ではないですが、こういう季節は逆に本領を発揮されているので好きです。赤雲丹のはしりを頂けたのも良かった。
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2021年12月10日 冬:せいこ蟹、鰆、迷い鰹
2021年は福井のお店を開拓しようと思って、同店鮨十兵衛さんも今年初訪問だったのですが、ハマってしまい季節で通って4回目です。ポップアップイベントを含めると大将のすしは今年6回目。
今回は初の昼訪問。昼はおつまみは無しで握りのみです。夜でおつまみからじっくり堪能するのがもちろん良いですが、握りが完成されているので昼は昼で満足感ありました。
ネタは福井の地物でほとんど構成してあったらもっと嬉しいですが、季節やその日の入荷でそういうわけにもいかないのだと思いますし、全国からの良い食材は入っています。ともかく、塚田大将のシャリの感じも個人的にとても好みなので、来年も通いたいです。
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2021年10月5日 秋:ハタしゃぶしゃぶ、新いくら、鰤砂ずり
3ヶ月ぶりの訪問。季節は夏から秋へと移り、王様級の主役食材が揃う冬に突入する一歩手前です。この季節はこの季節で良く、工夫と技が感じられて素晴らしいと思いました。とても印象的だったのは、つまみで出てきたハタのしゃぶしゃぶ、サワラの漬け、終盤に大トロの代わりに出てきた鰤の砂ずり。マグロは今回、大間の延縄漁221キロでした。
繊細でかつパワーのあるすしを握ってくれる大将は、しなやかで大らかで、任せられる安心感ありなかなかの役者。すっかり大将のすしにハマってしまっている自分がいます。
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2021年7月2日 夏:小浜 赤雲丹、越前町 鮑
1ヶ月強ぶりに2回目の訪問ですが、明らかに1回目よりも地物使いが多く素晴らしいと思いました。今回は福井の夏のスペシャル食材である赤雲丹、越前町の鮑、もずくのおろしそば仕立てなどが印象的でした。
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2021年5月26日 春:鳥貝、福井定置網 カンパチ漬、敦賀 鮑
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