福井県で注目を集めるすし店。今回のミシュランで福井県がエリアに加わりましたが、同店は初登場で2ツ星を獲得しました。
大将の塚田哲也さんは、札幌「すし善」後に、2代目としてお店を継承。寡黙で温和な方でありながら、太陽のように堂々としたがオーラがあって、所作も美しく、身を任せて味わいに浸れる頼もしさがあります。檜の一枚板が醸し出す凛とした雰囲気に、大将が生み出す独特な空気が重なるのも素敵。
魚はこれまでは他県の良いネタも使われていましたが、これからはできるだけ福井や北陸の地物に焦点を当てていきたいということで、ますます人気に拍車がかかる予感しかしません。福井の方にとっては誇りとなる名店だと思います。ちなみにマグロは「やま幸」さんから。
シャリのお酢は赤酢3割で米酢7割。最初に酸味が来て、米の輪郭を感じながら赤酢のコクが広がり余韻していく。シゴトの丁寧さが光り、ひとつひとつに存在感と品、そして色気を置いている。
春、夏、秋、冬と季節ごとに訪れたい、通って探求したい一店。
・「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)
ネタ箱は木製でもガラス製でもなく、雅やかな雰囲気を漂わせる越前漆器。
下駄は、越前唐津 三好建太郎さんの波打ち際を表現した作品。
【紹介項目】
2022年9月17日 秋:海女さんの塩雲丹、ボタンエビ、新いくら
9月2回目の訪問。ネタは(個人的に全然かぶってて良かったのですが)、9月初旬に赤雲丹が終わって、お初の食材も食べられました。海女さんが作った塩雲丹も印象的だった。
夏の赤雲丹、冬のカニやブリなどの王様食材がない、仕入れが難しい今の季節は大将の工夫も味わいどころ。とても素晴らしい回でした。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
(おつまみ)(※写真は一部)
・いくら玉締め
旬ど真ん中のこの時期、何度でも食べたい。キラキラ輝くいくら、今だからこその皮が薄い繊細な美味しさ。
・富山えび、三国のアラ
・富山えび頭
お造りで身を頂いた富山えびの頭は、ふんわり蒸して一番美味しいところまでしっかり頂きます。内子までほくほくとして、抜群に美味しかった。
・鰹漬け
・黒ムツ 藁焼き
・塩ウニ、カラスミ、甘海老
塩ウニは三国安島の海女さんが作ったもの。塩分濃度が通常15%のところ10%に抑えてあり、骨太な旨味が強調されます。
カラスミも、絶妙な塩気と旨味の奥行きといい粒感といい、パーフェクトでした。
・海うなぎ白焼き
(にぎり)(※写真は一部)
・ヒラメ昆布締め
・メイチダイ
・マグロ赤身
・小肌
・剣先イカ
・サワラ
・甘海老
・ニシン
・穴子
・トロ 青森大畑
・玉
2022年9月3日 夏:赤雲丹、ハタしゃぶ、新いくら
今回印象的だったのは、夏の福井のお宝食材である赤雲丹が食べられたこと。もう名残だったのですが、キープしてくれてあって感謝でした。初物の新いくら、ハタしゃぶも素晴らしかった!握りは個人的に鱚が好きでした。
季節は夏から秋へ。冬に向けて王様級食材が出ますが、今の時期は大将の工夫も味わえて好きです。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
(おつまみ)
・輪島のアラ
・福井の赤雲丹、ボタンエビ
名店で争奪戦になる福井の珠玉食材 赤雲丹です。食べられる時期が終わりに近づいていましたが、確保してくれていました。贅沢な濃厚さに品も兼ね備えており、余韻でも印象を残します。
・鯖 磯部巻き
海苔は修行先で使われているものを十兵衛さんにも送ってもらっているそうです。アオサを混ぜることで風味が増し、口の中で鮮やかな風味が広がる。
・ハタしゃぶ
ハタは軽くしゃぶしゃぶにしてもっちりとしたレア食感で。ポン酢にはニボシを効かせてあり、甘い香りが鼻腔に広がる。インパクトあった一品。
・新いくら茶碗蒸し
初物のいくらがここで食べられて嬉しい。キラキラ輝く透明感あるいくらを茶碗蒸しに乗せて。今だからこその皮が薄いいくらの美味しさ。
・ハタハタ煮付け
9月1日に底引網漁が解禁した北陸は、今年も海のものの美味しいシーズンがスタートした印象で活気付き始めます。底引にかかる甘海老や大衆魚も味わいどころ。軽い煮付けで、ハタハタの繊細な素材の美味しさが味わえました。
(にぎり)(※写真は一部)
・アラ
・鱚
フォルムからシュッと美しい。ピッとした鱚の食感を感じるたびに繊細な甘さが立ち上がります。
・子鯵
・赤身(宮城)
・甘海老
・ニシン
やわらかな身と、生臭みのない脂の美味しさ。なるほど、なニシンのうまさ。
・剣先イカ
裏表の両面に包丁を施したイカは甘さが引き出されており、ねっとりと美味。毎回楽しみ。
・鮪 大間
・小肌
・バフンウニ
・鉄火巻き
・玉
玉は甘海老のすり身入り。エアリーで軽やかで、甲殻類の風味が広がります。
2022年5月6日 春:赤雲丹、サクラマス、甘海老
昼に夜のコースでお願いしました。
できるだけ地物で構成してくれたのがありがたく、福井に来た甲斐を感じました。蟹や鰤など大物の王様食材がある時期ではないですが、こういう季節は逆に本領を発揮されているので好きです。赤雲丹のはしりを頂けたのも良かった。
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(つまみ)
・マコガレイ 福井
昨日締めたマコガレイを肝醤油で。絶妙な厚みで、水分量と食感もパーフェクトで歯が喜ぶ美味しさでした。
・赤雲丹 若狭
福井のお宝食材の一つと言えば赤雲丹。出始めの数少ない希少な赤雲丹を準備してくれました。これから夏に向かってどんどん甘さを増してゆきます。
・サクラマス 福井
・甘海老 三国
三国は甘海老も印象的な食材で、やはりどっしりしており甘く美味でした。子と海老味噌を添えて。
・鳥貝
・真フグ 白子 茶碗蒸し
(にぎり)※できるだけすぐ食べたいので、にぎりの写真は一部です。
・鯛
・金目鯛 昆布締め
・細魚 能登
・マグロ 銚子 延縄
・鯵 福井 今朝どれ
新鮮だからこその筋肉のピッと張った感じ。跳ね返す弾力が美味でした。
・剣先イカ 今朝どれ
・サクラマス 腹
おつまみで出てきた背の部分よりも脂を蓄えていて、口の中でシャリと溶け合います。
・鰹
・しめ鯖
・漬け甘海老
ねっとり食感も出ていて、甘味ととろみが混じり合う。
・鉄火巻き
マグロとシャリを受け止める海苔もやたらに美味しかったのですが、なんでも修行先で使われているものを、十兵衛さんにも送ってもらっているそうです。アオサを混ぜることで風味が増し、口の中で鮮やかな風味がパンと広がります。
・玉
玉はエアリーで軽く、甘海老のすり身入りで甲殻類の風味が広がります。
・抹茶ブランマンジェ
昼は最後にデザートが出ます。濃厚で苦味を効かせた大人な抹茶ソースをかけたブランマンジェで、ふんわりココナッツが香ります。
2021年12月10日 冬:せいこ蟹、鰆、迷い鰹
2021年は福井のお店を開拓しようと思って、同店鮨十兵衛さんも今年初訪問だったのですが、ハマってしまい季節で通って4回目です。ポップアップイベントを含めると大将のすしは今年6回目。
今回は初の昼訪問。昼はおつまみは無しで握りのみです。夜でおつまみからじっくり堪能するのがもちろん良いですが、握りが完成されているので昼は昼で満足感ありました。
ネタは福井の地物でほとんど構成してあったらもっと嬉しいですが、季節やその日の入荷でそういうわけにもいかないのだと思いますし、全国からの良い食材は入っています。ともかく、塚田大将のシャリの感じも個人的にとても好みなので、来年も通いたいです。
↓写真をクリックすると内容を見ることができます。同店は「北陸・トップ100レストラン」に選ばれています。
2021年10月5日 秋:ハタしゃぶしゃぶ、新いくら、鰤砂ずり
3ヶ月ぶりの訪問。季節は夏から秋へと移り、王様級の主役食材が揃う冬に突入する一歩手前です。この季節はこの季節で良く、工夫と技が感じられて素晴らしいと思いました。とても印象的だったのは、つまみで出てきたハタのしゃぶしゃぶ、サワラの漬け、終盤に大トロの代わりに出てきた鰤の砂ずり。マグロは今回、大間の延縄漁221キロでした。
繊細でかつパワーのあるすしを握ってくれる大将は、しなやかで大らかで、任せられる安心感ありなかなかの役者。すっかり大将のすしにハマってしまっている自分がいます。
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2021年7月2日 夏:小浜 赤雲丹、越前町 鮑
1ヶ月強ぶりに2回目の訪問ですが、明らかに1回目よりも地物使いが多く素晴らしいと思いました。今回は福井の夏のスペシャル食材である赤雲丹、越前町の鮑、もずくのおろしそば仕立てなどが印象的でした。
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2021年5月26日 春:鳥貝、福井定置網 カンパチ漬、敦賀 鮑
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