白山市鶴来にある人気そば店。白山比咩神社からほど近くの山の麓にあり、周囲はとても長閑。さわさわと葉を揺らす木々の木漏れ日が、自然のストロボになっています。凛とした純白の暖をくぐり店内へ。建物は築150年の民家をリノベーションしてあり、和の趣が感じられるどこかモダンな空間。店内天井を見上げると立派な大梁があり、静かに存在感を放っています。店内一番奥には蔵を改装した個室もありますよ。
店主 岡部州博(おかべくにひろ)さんは、原料となる蕎麦の産地にもこだわりを持っており、北陸3県で採れる地元産を使用しています。玄蕎麦のまま仕入れて店で石臼挽きし、井戸から汲み上げた天然水を使い、毎朝必ずその日分のそばを手打ちしています。
「鴨せいろ」はファンの多い一品で、これしか頼まない常連客もいるそうです。
熱いつけ汁に浸っているのは、炭火で炙った鴨とねぎで、その焦げ目に食指が動きます。鴨肉はぶりんと肉厚でジューシー。口に入れた時、たまらない香ばしさがあります。出汁の表面に膜をつくっているのは鴨の脂。旨みが溶け込んでいる脂が、蕎麦にコーティングされます。細かく切った鴨の肩肉を出汁として使用しているのも、旨みの濃度を高めている秘密で、味わいにガツンときます。
おすすめしたい食べ方は、冷水で締めてある蕎麦を、まず1口目は何もつけずにそれだけで楽しむこと。
蕎麦そのものの風味と喉ごしを楽しんだ後、出汁に付けて存分に味わいたいです。
そして注目は「そば寿司」。そばがみっしり隙間なく巻いてあり、水っぽさがまるでなく美しい。シャンとしているのが特徴で、そばのコシを十分に感じられます。ほんのりと甘酢が施されており、雅な甘さとの調和が絶妙です。売り切れが多いため、あれば必ず食べたい。
その他、一の膳(お料理3種)と二の膳(天せいろ)付の「比め膳」も良かったです。