2025年1月、金沢・柿木畠に暖簾を掲げたすし店。
店主の秋濱聡明(あきはま としあき)氏は、「鮨 みつ川」にて料理長を務め、10年にわたり腕を磨いてきた実力派。その確かな技術と美意識が詰まった同店は、注目を集めること間違いなし。
お店は、外観からはまるで内部の様子がうかがえない構えで、初訪問の際は一瞬戸惑いがありますが、店内に一歩入った瞬間、良い意味でのギャップに心を奪われます。
目を引くのは、長さ6メートルの一枚板カウンター。樹齢145年の吉野檜が据えられ、堂々たる存在感と、木の温もりに満ちた凛とした空気を醸し出しています。この一枚板を搬入するのは容易ではなかったと言いますが、それをやり遂げたからこそ生まれた品格はお見事です。緊張感と美意識が息づく。
料理はすべて、秋濱氏が一人で手がけるワンオペレーション。包丁の動きひとつにも迷いがない、手際良いシゴトが光ります。
おまかせコースは、おつまみから握りまで約15品ほど。北陸の旬を芯に据えつつ、北海道からも選りすぐりの素材を織り交ぜて構成されています。(みつ川さんが北海道に出店されており、秋濱さんも手伝われていた経緯から。)
●おまかせコース 15,000円(税込)
今回特に印象的だったのは、鱧のお吸い物、小木の青バイ貝、支笏湖のチップ。
(おつまみ)
・コチ、赤西貝 刺身
燃えるように赤い赤西貝は、コリコリとした食感と甘さが美味。
・鱧とじゅんさいのお吸い物
じゅんさいのとぅるんとした食感が涼を運ぶ。ハモの骨から取った出汁の吸地は、まろみのある甘さと奥行きが美味。
(にぎり)※写真は一部
・アカイカ
中から甘さを引き出してあり、口の中の解け方も計算されています。
・小松のアラ 船上〆
・小木の青バイ貝
しなやかな身質でしゃくしゃくとした食感。噛むほどに甘さが広がる。
・まぐろづけ
・チップ
北海道・支笏湖(しこつこ)で一生を過ごす淡水魚「ヒメマス(姫鱒)」。地元では「チップ」の名で親しまれているそうだ。身は繊細なピンク色で、柔らかな舌触りに、淡く聡明な旨味があり、口に含むと湖の静けさまで感じるような、独特の魅力がある。
・さごし
・カッパ巻き
胡瓜の皮を剥いてまるっとそのままシャリと巻いた大胆なカッパ巻き。塩を施してあり、ポリポリとかじると、みずみずしく青い爽やかさが広がる。
なんたってギャップ萌え!街の中であることをひと時忘れ、美味しいおすしに浸っておりました。またすぐに訪れたい。