福井のうまいすしと言えば、必ず名前が上がってくる一店。
大将の郷北斗(ごう ほくと)さんは明るく親しみやすい人柄でゲストを楽しませてくれるので、肩の力を抜いて気軽に訪れることができるのも同店の良さ。面白いのはすしのスタイルで、正統派で端正なすしの福井最高峰と言えば「鮨十兵衛」ですが、同店「鮨処 海月」は大将のセンスが光る斬新な味の組み立ても新鮮に感じられます。両者対極でそれぞれに良さがあるので、どちらも食べてほしい。
食材はできるだけ福井や北陸の地物を使い、お米はコシヒカリと日本晴、いちほまれの3種をブレンドで使用。最後まで飽きさせないコース構成も素晴らしい。
場所は市内中心部、飲食店が集まるエリアの一角にあります。
店内は改装し凛とした空気感が増しました。L字カウンターに9席で、大将の手元が目の前で見られる高さです。
【紹介項目】
2023年6月24日
(品数が多いので一部を紹介しています。順不同に載せています。)
●マグロとインゲン豆の手巻き
冒頭にマグロ手巻きが出てきてインパクトあります。インゲンの青い風味をアクセントに。
●粉若芽、マハタ、トマト
洋のニュアンスに福井らしさを乗せる、こういう味の組み立てが海月らしい。
●蒸しアワビ 越前町600g
かなりのサイズ感で驚きがありました。夏の王様食材もコースに織り込んである。
●ヒラソウダ鰹 藁焼き、新玉ねぎ醤油、地がらし
新玉ねぎはペースト状にしてあり、ソースのように添えて。
●とうもろこし味噌、ブロッコリーあさづけ
パーンと弾けるような夏の太陽の味を、同調する白味噌の甘さに重ね、和に持っていく。ブロッコリーの浅漬けをディップしながら。
●能登牡蠣、ディル
ディルの可憐な風味を添えた、ひんやりした能登牡蠣の一品。
●桜鱒 九頭龍川 押寿司
●黒もずく 南越前
●のど黒ご飯、モロヘイヤ、雲丹
●梅貝
●鯵
●タコ 昆布出汁で軽くしゃぶしゃぶして
●カマトロ
●太巻き
予測不能なコース構成と斬新な味の組み立てで、「次は何かな?」と最後まで飽きさせずあっという間。個々バラバラのように見えて全体にまとまりもあり、食べ終えた後に心地良い余韻が広がる。唯一無二と言える、福井の珠玉食材の昇華のさせ方。引き付けられるすしです。
2022年9月
(品数が多いので一部を紹介しています。順不同に載せています。)
●先付
福井県あわら市の富津(とみつ)地区で栽培される「とみつ金時」のすり流しでスタート。
●大間のマグロ巻物
マグロ赤身の巻物にフレッシュなルッコラをプラスし、食感と苦味をアクセントとする妙。
●白海老
白海老は福井の干椎茸の出汁に鯛の醤をほんのり効かせて、甘海老のねっとりした甘さに品のあるコクをスッと乗せています。
●穴子
穴子は刺身として。塩と柑橘、さらに山葵が福井勝山産というこだわりが嬉しい。火入をしていない生穴子の、エンガワのようなコリコリとハリのある食感と立ち上がる甘さが美味。
●ヒラメ昆締め、木の芽
●アオリイカ
●ソウダガツオ
●メジマグロ 砂ずり
●穴子
●白子 福井
出汁でゆっくりと火入をした白子はぷっくりふるふるしており美味しそう。驚いたのは九頭竜舞茸のペーストを添えてあること。舞茸の独特な風味で白子を食べるのは始めてかも。もろみと玉葱で豊かな旨味と甘味を出してあり、滋味が鼻腔を抜けます。
●蛸、地辛子 福井
●鮑 福井
夏の間に下処理をして冷凍をかけておいた鮑を肝ソースで。箸休めにブロッコリーの浅漬けを持ってくるというのもなかなか面白い。
●〆鯖、福井サーモンとゆかりの棒鮨ゆかり
●能登牡蠣
●カジキハム、オリーブオイル
塩せきしたカジキは水分が程よく抜けて旨味が増し、オリーブオイルが相性良い塩気。お酒が進む一品です。