台北市内で現在2店舗を展開する台湾料理店が、金沢市尾張町にオープンしたのが2020年8月6日のこと。屋台形式でのイートインとテイクアウト、店内レストランフロアで楽しめるランチ、本格的に台湾料理が楽しめるディナーと、大きく3つの形態で営業しています。
(コロナ禍で台湾シェフが来日しての通常開業は難しく、ずっとポップアップという形態でテイクアウトと簡単なイートインでの営業方法を取っていました。が、ついに2021年1月14日にディナー営業を開始。2021年春にはランチもスタートし、ますます通う楽しみが増えたお店です。)
建物は、1842年(天保13年)から続く老舗の油問屋「森忠商店」の店舗兼社屋だったそうです。この建物が建てられたのは1918年(大正7年)。香油や食用油を製造販売しており、特に香油は芸妓さんにも愛用されていたようです。
ちなみに同店の姉妹店「karch(カーチ)」は、香林坊にあるブティックホテル「香林居(こうりんきょ)」の地下1階にあります。ルーフトップサウナもあってサウナーも注目の新スポット。自家蒸留のアロマでロウリュが楽しめます。
四知堂のテイクアウト・イートイン
営業は朝8時から夕方の16時まで。レストランフロアではなく、お店手前のフロアで、簡単なイートイン用のイスとテーブルが設置してあります。お店入ってすぐにレジがあり、ここでオーダーと清算をまず済ませ、番号札を受け取って待つというスタイル。
メニューは、魯肉飯(ルーローファン)や鶏肉飯(ヂィローファン)、台湾バーガー、デザートの豆花(トーファー)などと、分かりやすい台湾グルメ一色。
●魯肉飯(ルーローファン)
台湾の定番料理のひとつと言えばこれ。小サイズ・普通サイズ・大サイズがあります。
甘辛くとろとろに煮込んだ能登豚の粗挽き肉は、五香スパイスが効いており白いご飯が進みます。何度も食べたくなる美味しさ。
●台湾粥
貝柱や干し海老の旨味が溶け込んだ台湾粥は朝食にぴったりの一品。体を優しく起こしてくれます。
●豆花(トーファー)
ご存知豆花は、豆乳をふるふるに固めた台湾の王道スイーツ。甘さ控えめのやさしい味わいで、とろける食感です。3種の豆、お団子、白木耳をトッピング。自家製シロップが上品で飽きずに美味しい。
●蜜桃愛玉子豆花(2021年8月9日訪問にて)(700円)
夏バージョンの豆花(トーファー)として、桃と愛玉子(オーギョーチー)をトッピングしたスペシャルバージョンが登場していました。
愛玉子ゼリーは、こちらも台湾を代表するデザートの一つで、涼やかでスッキリした品のある味わい。旬の桃からのジューシーな甘さが溶け合い夏にぴったりでした。
●割包(グァパオ)
ふかふかの蒸しパンにとろとろに煮込んだ能登豚の角煮を挟んだ台湾バーガー。
●生花餅(ホアシェンピン)
ピーナッツとココナッツのあんを生地に包んで焼き上げた“おやき”のようなお菓子。シャキシャキとした食感を残したピーナッツにココナッツの南国の風味が重なります。
●胡椒餅
熱々焼きたて。餅というネーミングですが、小麦の皮で包んで焼いてあるのでパイのような感覚です。ぎゅっと詰めてあるひき肉には胡椒をしっかり効かせてあり、痺れと風味にそそられて食べ出したら止まりません。
●豆漿粥(2021/9/2より期間限定)
こちらは豆乳をベースにした優しいお味のお粥で、アサリやミニ貝柱の旨味が溶け合います。季節のサツマイモのホクホクの甘さも良いですね。
●台湾茶 コールド(金萱茶)
四知堂のランチ(レストラン席)
軽食メニュー(上記)は16時まで店舗の入り口に設けられたイートインスペースで手軽に食べられるのですが、それとは別に店内ではランチと台湾茶セットと甘味が食べられます。
ランチは、11:00〜14:00提供。メニューは、台湾粥セット、牛肉麺(ニュウローメン)セット、魯肉飯(ルーローファン)セット、鶏肉飯(ディローファン)セット
喫茶は、10:00〜16:00提供。台湾茶セットと甘味があります。
オーダーと清算は、軽食メニューと同じく予めレジで済ませてからレストランフロアに通されます。
●牛肉麺(ニュウローメン)セット(香味野菜、甘味 1700円)
煮込んだ牛肉をトッピングした麺料理で、スープは牛肉の旨味が溶け込んだあっさりとしたタイプです。トマトの効かせ方が絶妙で、トマトの酸味と旨味が香辛料とハーブと重なって複雑な風味が次の一口を急がせます。
麺はしなやかでつるっと滑る平打ち麺です。これはまた食べたい美味しさ。
セットの甘味「仙草ゼリー」と「雪Q餅」も嬉しい。
●魯肉飯(ルーローファン)セット(季節の小菜、スープ、一口菓子 1500円)
甘辛くとろとろに煮込んだ能登豚の粗挽き肉は、五香スパイスが効いており白いご飯が進みます。箸が止まらない。
四知堂のディナー
(ディナー訪問 2021/1/16)
レストランフロアは余裕のある空間使いで、天井の高さと吹き抜けがその広さをより強調。シックなデザインに油問屋だった頃の趣がマッチしています。
●四知堂ディナーコース
季節の鍋料理を中心としたコース料理で、1月2月のメインは紹興酒ベースの鶏鍋でした。
・前菜盛り合わせ
キャロットラペ金柑、大根餅、海老湯葉巻き
・野菜の紹興酒鍋
タアサイ、ブロッコリー、椎茸、舞茸、ナツメ、干湯葉、金美にんじんなど、彩り豊かな野菜鍋です。ベースの調味料は紹興酒ということで余韻に旨味はありますが、クセやしつこさもないあっさり味で、野菜やきのこの美味しさを引き立てます。
沙茶醤(サーチャージャン)、腐乳ダレすり胡麻、辛味噌、パクチー、針生姜などの調味料と薬味で味を変えながら。
・白湯(パイタン)鶏鍋
今ほどの紹興酒鍋に、白湯と香辛料の八角や青山椒などを加えた鶏鍋です。味わいに品と妖艶な風味がプラスされ、味の方向性がガラリと変わっています。
鶏モモ、手羽先、鶏団子たっぷりです。
・台湾麺線
鍋の締めは、台湾のソウルフードの一つである麺線。そうめんのような細い麺で、台湾ではとろみのあるスープで煮込んであり、同店でも鍋のスープで煮込んで提供。レモンを添えることで、酸味がキリッとしつこさを切ってくれます。
・仙草ゼリー
台湾の定番デザート。仙草は健康や美容効果も期待できることでも有名で、少し個性的な味わいで、見た目の印象とは異なりスッと清涼感があります。健康的なおいしさ。
・金萱茶(きんせんちゃ)、自家製 雪Q餅(シュエキュービン)
最後は台湾のお菓子「雪Q餅」と金萱茶を。
雪Q餅は、雪のような見た目で、台湾でモチモチ食感という意味の「Q」に由来しています。クッキーのようにサクっとしていますが、ねっとり感もあり、ほろほろと甘さが立ち上がってきます。美味しい。