「cenci」京都|cenci, Kyoto JAPAN

(訪問回数 2回)

平安神宮近くにある、京都を代表するイタリアンレストランのひとつ。「Asia’s 50 Best Restaurants(アジアのベストレストラン50)」2021年では91位に選ばれています(京都唯一のランクインです)。

シェフの坂本健さんは京都出身で、「イル・パッパラルド」にて3年半修行後、「イル・ギオットーネ」で9年間料理長を務め、2014年12月5日に同店をオープン。
建物は築100年以上の日本家屋を改装。エントランスを入ると、煉瓦造りの古城のようなトンネルをくぐると、空間が開けてパッと自然光が入る半地下のメインダイニングに出るという独特な造りです。大人の隠れ家的。

なんでも工事に7ヶ月も掛かったそうで、機械が入れられない最初の工事は、スタッフの方も工事に携わったのだとか。煉瓦もここを掘り出したときの土から焼いたものというこだわりです。

お料理には京野菜や全国の珠玉食材を使用し、和食材にアジアのスパイスや南米の食材を組み合わせたりと、想定していた味を越えたところに新しい美味しさを置いているのも特徴的。
また、席数が26ありますが料理提供タイミングなど抜群で解説も素晴らしく、チーム力の高さを感じました。

●ペルシュウ
日本で唯一パルマハム職人の称号を持つ、岐阜県「BON DABON」多田 昌豊さんのペルシュウ。多田さんのペルシュウは限られたレストランのみの取り扱いです。
透けて見えるほど薄くスライスされた美しいペルシュウ。その繊細で絹のような口当たりとは対照的に、旨味に厚みと深みがあり驚きます。新潟県産の豚肉を2年熟成させたペルシュウだそうです。
ブラータチーズは、外側はcenciさんで練り上げたモッツァレラチーズ、中には岡山の吉田牧場さんのリコッタチーズにホエーを合わせたものを詰めて。とてもピュアで軽い口当たり。新潟県産の茶豆のピュレを添えて。

●ガスパチョ 鮎
ガスパチョと滋賀県高島の鮎。鮎は内臓を取り出してからフリットにし、内臓は稚鮎と共にペーストにしてから揚げた後の鮎のお腹に戻してあるため、軽やかでまろみのある苦味がフリットの香ばしさにふんわり乗る。サワークリーム、ルバーブと。
ガスパチョはビネガーを使わずに、パプリカやセロリなどの野菜を乳酸発酵させた酸で爽やかさをプラスし、仕上げにフレッシュのトマトを加えているそうです。

●賀茂なす 帆立 アオリイカ 穂紫蘇
京野菜の賀茂なす、帆立、アオリイカをタルタール仕立てで、ペルシュウからとった出汁を米麹と合わせたものをソースとして。素揚げした賀茂なすの優しい夏の味をベースに、ソテーした伏見とうがらし、酢漬エシャロットのアクセント、ハラペーニョの辛味、芽生姜ピクルスと穂紫蘇の和の風味といった、いろんな味と風味が次々と現れて交錯していくのが面白い一皿でした。

●とうもろこし 玄米 伝助穴子 山椒
炭火焼にした伝助穴子は熱々の鉄鍋皿で提供し、骨で取った出汁を注ぎ旨味が一気に濃縮。伝助穴子は肉厚でぷりっと跳ね返す弾力あり。玄米、餅米、トウモロコシ、黒米、15年熟成の赤酢、アマゾンカカオ太田さんのマカンボの果肉ジャムという組み合わせ。穀物の滋味とアントシアニンの妖艶な風味が印象的でした。


●胡瓜 マスカット ハーブ 酢橘 アーモンド
京都の胡瓜、シャインマスカット、インゲン豆、ハッカとディル、コリアンダーシード、クミン、酢橘の皮、塩麹と豆腐のソースで動物性のものを使わない一皿。砕いたアーモンドのふくよかな香ばしさが主体となり、角度の異なる爽快な風味が次々と現れます。

●茄子 赤島らっきょう 経産牛
北海道の178ヶ月経産牛サーロインを、茗荷、赤島らっきょうのピクルス、茄子で夏の味に。

●アスパラ 雲丹 馬告 タリオリーニ
コースのクライマックス、イタリアンとしてパスタの美味しさを外さないのはさすが。魅せるべき部分でしっかり印象を残します。見た目はシンプルな雲丹とアスパラのパスタですが、台湾の山胡椒“馬告(マーガオ)”で想定外の美味しさを置く。ソースのようにパスタに絡む雲丹の甘さを、マーガオの辛味が引き締め、爽快感のあるハーバルな風味で持ち上げます。バランスが絶妙。

●マンゴー

●桃 レモンバーベナ

cenci(チェンチ)
京都府京都市左京区聖護院円頓美町44-7