「koke」京都|koke, Kyoto JAPAN

京都の新星。神戸「Ca sento」さんで修行された中村有作さんが、2021年4月14日に京都で独立開業した、スペイン料理をベースとしたイノベーティブレストランです。現状も良かったですが、今後の期待感を持たせてくれる光るレストランでした。
店名「KOKE」は、K(Kyoto)、O(Okinawa)、K(Kobe)、E(Espanyol)の頭文字。日本庭園の“苔”も連想されますね。沖縄はシェフの出身地です。

場所は烏丸御池エリア。スタイリッシュなビルの脇道を入っていく造りで、奥に進むと空間が開けて緑のお庭が現れ、同店の扉があります。






ナチュラルでコンテンポラリーな要素もあって、世界観が空間から作り込まれています。
席はカウンター6とテーブル2つですが、テーブルと言ってもカウンター席のすぐ後ろに設けられているので、臨場感はカウンターと変わらないのも良い。


厨房で存在感を放つ薪釜からの薪がはぜる音が、店内にBGMのように響きます。使用する熱源は薪だけでなく炭の両方。
そして、同店最大の特徴であり強みの一つとなっているのは水。この場所の地下30mから汲み上げられる超軟水をシェフが気に入り、この場所で開業されたそうです。
地方のディスティネーションレストランではなく、都会のレストランで水からアプローチするというのは珍しいですね。

料理のベースはスペイン料理で、そこにイノベーティブの要素もしっかりと感じられます。シェフの出身地である沖縄の食材も織り込まれており、故郷愛も強く感じられました。味の組み立ては結構複雑で、同調する食材で奏でるハーモニー、またハーブやスパイス使いも多く風味も意識されている印象を受けました。

●水
まずは地下水をメインとした一品で幕開け。丸岡七谷地鶏のコンソメスープ、器に薪の香りをつけてあり、馥郁たる香りと共に。

●SNACK
1つ目は、黄色と赤のビーツで作ったチュイルに、塩レモンのジャムと山羊のチーズをサンドして。
2つ目は、ほんのりと温めたタルト生地に、香味干し海苔を混ぜ込んだクリーム、その上にふわふわに削ったカラスミと焼きのりを乗せて。心地よい温度感と共に優しく広がる海の香。

●鱧
牛脂を塗って備長炭で焼き上げた鱧に、淡路島アオリイカとレホールのピュレのタルタールの組み合わせ。レホールの爽快な刺激が印象的な一皿。

●パン

●とうもろこし
沖縄のとうもろこしの冷製スープ。野菜の焦がしパウダー、アーモンドとパルミジャーノチーズのムース、モルトビネガーのカラメルで、濃厚でとろとろ系のカラメルプリンのようなイメージ。温度はキーンと冷たいのですが、味に厚みがありふくよかで、ホロリとくる苦味がのっています。

●TAPAS
スペインバルのタパスをモチーフにした小皿料理が、ずらりと目の前に並びます。心躍る演出。
アメリカンチェリーとフランボワーズビネガーにトマトウォーターを組み合わせた、ギュッと濃厚で優雅な味わいのガスパチョ。明石の蛸とニンニク、クミン。京都宮津の大鳥貝。埼玉の国産生ハムとアコ。北海道と大羽イワシと山芋。スペイン生サラミは、サブレに青唐辛子酢漬けとマスタード、シェリーの組み合わせ。

●ルートビア
ルードビアは沖縄で親しまれている炭酸飲料(ノンアル)で、シナモンなど多種のスパイスを効かせた複雑な味わいがクセになります。これをゼラチンのシートにし、低温調理のフォアグラとイチジクをサンド、メイプル、カカオのチュイール、ハイビスカスの塩、ピンクペッパーの組み合わせで、ルートビアらしさをしっかり感じさせつつフィンガーフードとして昇華。これは面白い。

●ホエー
キャベツはじっくりローストして甘さを引き出し、仕上げに表面を炙って。20種のハーブのピュレ、弓削牧場フロマージュフレ、仕上げにホエーの温かいソースを注いで。フロマージュの爽やかな酸味でザワークラウトのようなニュアンス。

●魚
備長炭で火入れした山口のマナガツオに柑橘のソース、アンチョビとナッツの焦がしバター、スペインの獅子唐辛子パドロン、エストラゴン。


●肉
沖縄県産牛の熟成肉を薪で火入れし、沖縄の島ラッキョウを煮詰めたソースと発酵玉葱、薪焼きクレソンと。薬味で頂くような印象。

●米
生ハムから取ったスープと肉醤で動物性の深い旨味を加えたオジャ。胃から体に染み渡りホッとなる美味しさ。


●チーズ
神戸市の弓削牧場のチーズ「プチ太郎」ウォッシュチーズムース、モルトシロップ

●パイナップル
牛乳を何時間もかけて煮詰めてからアイスクリームにしてあり、ほんのりベージュ色をしています。パイナップル、弓削牧場ローズマリー

●ポルボロン

Restaurant koke (レストラン コケ) 
京都府京都市中京区蛸薬師287 ido 1F