「Raan Jay Fai」タイ バンコク|Raan Jay Fai, Bangkok Thailand

(訪問日 2019年12月20日)

味さえ確かならば世界から認められる。
それを教えてくれたのは、タイのローカル店でミシュランガイド1ツ星を獲得した「Jay Fai(ジェイ・ファイ)」です。ゴーグルをつけた女性が炎上がる中華鍋で料理しているというのもインパクト大で、世界的に有名になりました。店名は“ホクロおばさんの店”という意味。このオーナーシェフは73歳(2019年時点)で、タイでは“屋台の女王”とも呼ばれます。ミシュランに載る前は、2軒隣のパッタイ有名店「ティップ・サマイ」が長蛇の列でしたが、今ではここJayFaiが超超超超予約困難。
彼女はもともとは屋台でチキンヌードルを作っていたそうですが、借金をして店舗を構えて食材にこだわり高級路線に。この人生の賭けは成功。最初は「高い」と頭ごなしに言われ続けましたが、一度食べお客さんは常連になり、どんどん口コミで人気になったそうです。
ちなみに本当に高い。

しかし彼女は、ただの屋台の人ではなく“シェフ”であるというプライドも持っていて、メニューもクリエイティビティに溢れます。
味への探究、高いレベルでの維持、料理に向かう姿勢、真剣味、“どこにでもありそうなローカル店”という見た目とのギャップがすごくて何もかも驚きです。
また、彼女の体力の強靭さには驚くばかり。ただでさえ暑いタイ。あの強い火力の前で、オープンからクローズの深夜までずっと鍋の前に立ち続けます。鍋を見張るその目は真剣で、写真を撮るオーディエンスに囲まれていても高い集中力で手技もブレない。
ちなみにJayFaiの席は、予約席と当日席がありますが、事前予約は難易度高く、タイ人の友人から電話してもらっても取れなくて当日予約にかけることに。結果、11時半に予約リストに名前を書いて、席に通されたのは18時半過ぎでした。私、7時間待ったから。

11時半に名前書いた時点でリストの42番目。
事前予約のお客さんもいるのでたぶん途方もないなと覚悟。「たぶん夕方だな」。まずは近くのパッタイ屋さんで昼ごはん(笑うほどまずかった)。そしてこの辺りは周りに寺院も多いので観光に出かけました。
でも、JayFaiは順番が来て呼ばれたときいなかったら予約が消されるので、時折見に行ったりとヒヤヒヤ。17時に行ったら「40番目」。「もうすぐか?(ドキドキ)」と思いながら店前で待ちましたが、待てども待てども。
ようやく名前呼ばれたのは18時。が、ただの確認。日中は34度。浴衣と言えど帯周りは何重にもなっているので疲労困憊。体力消耗し激疲れ。これ修行ですか?(笑)。

ようやく席に通されたのが18時半過ぎ。この時飲んだビールが人生で1番美味しかったです。プハー天国。
でもシェフは長時間ずっと調理をしているわけで。すごいことです。店内で彼女の背中を見ながら涙が出そうになりました。

スペシャリテの「カニオムレツ」はさすがにうまい。

サイズはこぶしより大きく驚きます。中には惜しげもく500gのカニ身。ナイフを入れてこれに驚かない人はいないはず。卵を油にふわっと落としてコロッケのように形成し、絶妙のタイミングで仕上げるので、カニ身はほわっとしてて素材感ある。なんでも日本のオムレツを参考にしたそうです。

トムヤムクンも絶品だと評判高い。

さらに「ドライトムヤムクン」というメニューを考案したのがすごい。食べ応えある立派なエビと繊細なタケノコにトムヤムクンの味を添える。食べられるトムヤムクンになるほど。

価格はカニオムレツだけで1000バーツ (4000円)。今回は料理4品とビール1本で12000円。ローカルにしてはもちろん高いけど、特にエビとカニは立派なもの使ってて値段には納得です。

「ミシュランの星を取ったとき最高に嬉しかった」そうで、よくぞ見つけてくれましたミシュランさんと思いました。
どうかお身体を大事にしてもらいたいです。
今日もJayFaiには世界からお客さんが訪れる。