(訪問日 2019年12月19日)
バンコクにある現代ドイツ料理のレストランで、「ミシュランガイド」では2ツ星、「Asia’s 50 Best Restaurants(アジアのベストレストラン50)」2019年は4位、2020年は6位、2021年は6位にランクインしています。「なぜバンコクでドイツ料理?」のハテナは、料理を食べ始めたらすぐに消えてなくなります。とにかくレベルが高い。
シェフはベルリン出身の双子兄弟であるトーマスとマティアス。
私が持っていたドイツ料理のイメージは(申し訳ないですが)素朴で粗食。しかしシェフのクリエイティビティーで再構築された料理で、ドイツ料理への興味やリスペクトにも繋がることとなりました。
オシャレな料理が次々と準備されますが、郷土料理に敬意を払って再構築しているのが分かります。さらに和に通じる“ミニチュアの美”も随所に発見できるところに魅かれました。
レストランは一軒家で、入り口はアプローチに余裕を持ち、森の中に入るように緑を植え込んであります。植物に迎えられる心地良さ。ダイニングは庭側やメインダイニング、カウンターといくつかのフロアに分かれています。
私は有難いことにカウンター席だったので、厨房のライブ感を存分に楽みました。焼き台は高さを変えられるものでした。
料理はChapter1から3まで3つのパートに分かれます。個人的に印象的だったのは、鰻のラビオリとメインのハンガリーダック。
【Chapter one】
●Leberkase
ミニチュアのビールが可愛らしい。これはドイツビールとレモネードのカクテル。レバーケーゼは、ひき肉を使った料理でドイツ風ミートローフ。 これは豚肉のポークローフで、目玉焼きをのせて。ドイツらしいフィンガーフードで幕開け。しかし単に小さく可愛らしいだけでなく、本気でおいしいを構築してあって、その後の料理を期待させました。あぁ、来てよかった。
●Brathering
ブラザリングは、ニシンのマリネを揚げた伝統的なドイツ料理。ビーツのカードにのせて。
●Chicken salad
艶っとした深緑の粒が目に飛び込んでくるタルト。これはグリーンサラダをイメージしたもので、口の中で濃い野菜の緑の味がじゅわっと広がる。タルトの中はチキンマリネ、マッシュルーム、オニオン。
●Enleta
おやつのように袋に入れられて出てくる演出。袋も同店オリジナル。ダックレバーをウエハースに挟んであり、ペアリングのビネガー系の飲み物を合わせると味が完成。
●Frankfurter Grune Fogge
7種類のハーブで作ったグリーンソース、9種のハーブをのせて。酸味あるサワークリームとポテト。
【Chapter two】
●Aul Grun
軽く燻製香を付けた鰻のラビオリに胡瓜のジュースとパセリオイルのフレッシュな青い風味を合わせます。とてもデリケートな一品。鰻の薄さと口溶け、繊細に対する淡い味の添え方、計算されていて震える。
●Brotgeit
ブレッドタイム!トラウトにホースラディッシュ、豚脂とドライビーフ、ピクルス。自分でのっけて食べるオープンサンド。
●Leipziger Allerlei
ライプツィヒアレレイは、エンドウ豆、ニンジン、インゲン、アスパラガス、アミガサタケ、セロリで構成されるドイツの地方野菜料理だそうです。郷土料理をロブスターを主役にして構築。ロブスターバター、ロブスターソースを添える。美味。
●Zander – cooked over cedar wood
スイートウォーターフィッシュ 魚料理
●Hungarian duck – aged four 7days /cauliflower
肉料理はまずはナイフを選びます。重厚な木箱で登場。ハンドルの部分が、アジアの木、中央アメリカの木、ヨーロッパの木の3種類あります。カッコイイ。
7日熟成のハンガリーダックは素晴らしい美味しさだった。火入れも完璧でうっとりするような優しい弾力と口の中でほとばしるジュ。美味。
【Chapter three】デザートのパート
●White chorolate/cherry / roasted rye
BircherMusli
●Omas Eierlikor
ジャーマンチーズケーキに、シェフのおばあちゃんのレシピであるEierlikorをペアリング。卵黄とコンデンスミルク、バニラ、ウォッカからなり、白濁し甘くとろりと重厚で、チーズケーキに相性抜群。
●Fussigkeitenbox
最後の小菓子まで楽しませてくれる。木のボックスから登場したのは、トンカ豆のチョコレートやバームクーヘン、アプリコットのマシュマロ。