秋の【片折】2025(32回目の訪問)

2025年秋の片折。今回は、お月見と菊をテーマにしたお料理が目立ちました。
(ありがたいことに今回で32回目の訪問)

これまでのレビューや店舗概要はこちらをご覧ください↓

「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)

日本一の歩みを続ける名店でありながら、訪れるたびに新鮮な感動を与えてくれるところがすごいと思います。今回のお献立にも新作が多く並びました。磨き抜かれた技に加え、絶えず進化する姿勢に驚かされます。

・残月豆腐、キクラゲの山椒和え
名残の月を映す幽玄な一品。わらび粉で直前に練り上げた豆腐はもっちりとした粘度を持ち、滋味とともに儚さすら感じさせます。日本人が愛する“未完成の美”が静かに表現されていました。

・お吸い物 菊花蕪椀
蕪を菊花に見立てた椀種。純白の花びらが吸地に浮かぶ姿は清らかで、根菜のみで構成された潔さに、料理人の美意識が凝縮されていました。お野菜だけのお吸い物は初めて。

・お造り
アラ、カマス炙り、沖鯵のたたき

・甘鯛の炭火焼き
皮目を香ばしく焼き切ってあり、炭の香りと身の甘さが引き立ちます。

・アカイカの菊ずし
料亭仕込みの繊細な技が発揮され、まるで水引のように精巧な姿に心を奪われました。美味しさに加え、文化性までも皿の上で感じさせます。

・福井 海鰻、銀杏

・冬瓜まんじゅう
印象的だった一品。シラサエビや甘露椎茸、オクラやパプリカの、彩り豊かな美しさが目に飛び込んできます。カラフルな色彩はまるで器に描かれた絵画のようで、味わいだけでなく視覚的にも心を奪われました。

・羽二重蒸し
重陽の節句“着せ綿”をテーマに、潮汁の泡をかぶせてあります。菊花や蟹とともに秋の風情を表現。後半に入っても新作続き。

・蒸し茄子白和え
直球勝負の清々しさがあり、茄子の身がギュッと詰まった旨味を存分に楽しませてくれます。

・月見団子、鶏そぼろ
秋の夜長を過ごすような、風情ある一品。素朴で味わい深い。

・お食事
ご飯は氷見のコシヒカリ一等米を使用。ふっくらと立つ粒が、美しい光沢を放ちます。氷見牛の八幡巻きとともにいただいたあと、選べる“おかわり”がまた贅沢なのです。

・鮎の焼きおにぎり 庄川の鮎、出汁がけ
口いっぱいに鮎の香ばしい風味と旨みが広がり、余韻まで美味。〆にふさわしい一品でした。

・ブランマンジェ、ルビーロマン
なめらかでミルキーな甘味に、宝石のような葡萄の芳醇な香りが重なります。ルビーロマンは輪切りにしてあることで、一層その大きさを印象付けます。

 

片折
石川県金沢市並木町3-36

「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)