【片折】2026年 8月13日 テーマ「盂蘭盆会」(34回目の訪問)

2026年8月の片折さんです。
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「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)

今回で、34回目(2026年8月13日訪問)。

8月のテーマは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」でした。お盆に先祖を迎え、供養する日本の行事のことで、蓮の葉や蓮の実、新蓮根、そして“ひとだま”を思わせる椀物などで料理に落とし込んでいらっしゃいました。行事や風習まで料理で織り込むのは片折さんらしいですね。

そして、「片折」の料理を語るうえで欠かせないのが水。
片折さんは、料理に使う水を自分たちで汲みに行きます。今回使われていたのは、能美市の遣水観音山(やりみずかんのんやま)の水でした。

・新物天草の自家製ところてん
能登では、昔から家庭でところてんを作る家も多く、私自身も小さい頃から自家製を食べてきました。親しんできた素朴な美味を、片折さんが精度高く研ぎ澄ませた一品。つるりとした喉越しとコシがあり、冴えた美味しさ。

・水玉おくらのメレンゲ
吸地の上に浮かぶのは、「水玉おくら」のメレンゲ。
ふわり、ゆらゆらと漂う姿は、まるでひとだまのよう。盂蘭盆会という今月のテーマが、ここにも表現されています。その中には、レアに火入れした帆立貝柱。軽やかなメレンゲの中から、帆立の甘みとやわらかな食感が現れるのも印象的でした。

・お造り(オニカサゴ、鯵、ヒラソウダガツオ)

・蓮の葉の飯蒸し
仏教とも深いつながりを持つ蓮で、お盆のお供物をイメージした料理。ほこほこ温かい蓮の葉を開くと、湯気に乗って滋味漂う。新蓮根、蓮の実、鰯のこんか漬と。

・のど黒の炭火焼き
産卵前の、身に栄養をたっぷり蓄えたのど黒は美味しいですね。
添えられたのはインゲンには、香りの高さが際立つ希少な胡麻を擦って和えてあります。

・新蓮根と新銀杏の揚げ物
新蓮根だからこそのシャキシャキと歯切れがよい、フレッシュで瑞々しい味わいは今だけ。普段口にする蓮根とはまた違う、この時期ならではのおいしさ。

・シャインマスカットの白和え
ここで使われたのは、片折さんが修業時代から少しずつ買い揃えてきたという思い出の器でした。なんだかジーン。

・渡り蟹とシラサエビの煮こごり
渡り蟹の野趣ある濃い旨みに、シラサエビの甘み。冷たい煮こごりの中に、海の繊細が詰まっている。目を閉じると能登海に連れて行ってくれました。

・鮎の白味噌仕立て
今回とても印象に残ったのがこの料理。
片折さんオリジナルの鮎料理は興味深い。頭と骨を外し、身は香ばしく火入れ。鮎らしい香りとほろ苦さを残しながら、ほっこりとした甘みのある白味噌を合わせることで、その苦味までやさしく包み込みます。
鮎といえば塩焼きをはじめ、その苦味や香りをストレートに生かす料理が多い中、白味噌と合わせる発想。鮎の個性を消すのではなく、白味噌によって別の角度から鮎のおいしさを引き立てていました。

・胡瓜とクラゲの胡麻酢和え
つる幸からの伝統を引き継ぐ、味わい深い一品。片折さんが大切にしている精神を感じます。

お食事は、おかわりのバリエーションを楽しみにされる方が多いですが(私も)、まずはそのままの白いご飯が心に響く美味しさ。
澄んだピュアな味わいでありながら、甘さが立ち上がって波のように広がって余韻を残す。

おかわりは今回、鯵の漬け丼とユメカサゴの天丼、


さらに、鮎の炊き込みご飯茶漬けを選びました。
先ほどの鮎とはまた違う表情を、お茶漬けで味わいます。

デザートは、ふるふると涼やかなれんこんもち。地味深くて美味。さらに、最後まで「蓮」で締めくくってくれたのだな、と。さすが、片折大将です。


季節の高級食材を食べることが、この店へ通う理由ではありません。特に今回は、いつにも増して文化的な奥深さを感じるお献立でした。