【木佐貫】さらに独自の世界へ!美しい冬瓜まんじゅう、鮎寿司、雌の雉(2026年8月12日、4回目の訪問)

日本料理店「木佐貫」へ。今回で4回目の訪問です。
名店「片折」で料理長を務めていた木佐貫(きさぬき)さんが、自らの名を冠した日本料理店をオープンしたのは2025年4月18日のこと。片折さん同様、一年以上予約で埋まる、超予約困難店です。2026年には「The Tabelog Award Silver」も受賞しています。

「木佐貫」片折料理長の独立店!2025年4月18日にオープン。金沢の名店誕生



木佐貫さんの料理をひと言で表すなら、端正。そして、そこに一層華やかさが加わっていました。今回とりわけ感じたのは、「木佐貫さんだからこそ」のエッセンスが濃く表れていたこと。
以前も、贅沢にも「夜は木佐貫、翌日の昼は片折」という訪問をしたことがあります。そのときも夏で、両店に共通する料理がありましたが、今回はまったく違いました。
片折さんは片折さんで、さらに独自の世界へ。そして木佐貫さんもまた、受け継いだものを土台としながら、ご自身にしかできないお献立へ。
同じ場所で長く料理を作ってきた両者が、それぞれの感性で別の方向へと歩み始めている。その違いを続けて味わえたことも、今回とても興味深かったです。

オープンから1年4ヶ月。「木佐貫」さんの表現したいものがくっきりと見えた夜でした。

・冬瓜まんじゅう
一品目から、ぐっと木佐貫さんの世界へ引き込まれました。美意識を感じる。
蓮の葉の上に置かれた冬瓜まんじゅうと、ひらりと飾られた蓮の花が凛とした印象を与えます。視覚的には静謐でありながら、冬瓜まんじゅうの中にはオクラ、サザエ、パプリカ、うなぎと、夏の味覚が重なります。
淡い冬瓜の中から現れる鮮やかな色彩も美しい。

一品目は、その店の世界観に導入させ、コースの期待値や集中力も決めるものだと思っています。最初からこれだけ手をかけた季節感のある料理を持ってくるところにも、木佐貫さんらしさを感じました。

・鮎寿司(石川県産)
頭と骨を外して火入れした鮎で、酢飯を包むようにした鮎寿司。
鮎といえば、炭火で塩焼きにして頭から骨まで丸ごと食べる。その力強い食べ方に魅力がある川魚ですが、この一品は、鮎の「身そのもののおいしさ」に焦点を当てています。身は、驚くほどほわほわ、ふっくら。
鮎特有の香りやほろ苦さ、そして繊細な身質と旨みをきちんと主役にしています。さらに印象的だったのが温度。鮎の身、脂、酢飯が一番おいしく感じられるところまで神経が行き届いています。

・お椀 「石崎えび」
椀種は石崎えび(いっさきえび)。石川県の七尾湾石崎漁港周辺にだけ生息する非常に珍しい海老で、水揚げ量が少なく地元でも口にするのが難しい食材です。強い甘味と旨味があり美味。
何より、さすがの吸地です。角がなく、まろやかな旨みが舌の上に揺蕩う。

・刺身 アラ、アカイカ、ヒラソウダカツオ

・甘鯛唐揚げ

・七尾岩だこ、万願寺とうがらし、湯葉

・のど黒炭火焼き、銀杏
のど黒は、さすがの火入れです。
特にこの時期は、産卵を控えて栄養を蓄えた夏ののど黒。脂の存在感よりも旨みを感じる、個人的にも大好きな季節。

・吉川なす
福井県鯖江市吉川地区で受け継がれてきた伝統野菜、吉川なす。黒紫色をした丸なすで、果肉が緻密で締まり、煮ても崩れにくいのが特徴です。
これを一度揚げてから、煮浸しに。
ギュッと詰まっていますが、柔らかさもあり、茄子そのものの旨みが強い。油と相性が良いので、揚げることによって、さらに美味しさが引き出されています。
夏、食べたい北陸の美味。

・雉ささみの胡麻和え
宮崎金胡麻、採れたて胡瓜、椎茸甘露煮。
ここで雉を持ってくることに、まず驚きました。
しかも木佐貫さんの故郷・宮崎県の雉と金胡麻。採れたての胡瓜の瑞々しさ、椎茸の甘露煮の旨みを加え、雉のささみを胡麻和えにしています。

 

・雉
続いて、宮崎県産のなんと雌の雉を、雉出汁で。今回最も印象に残った一品です。
部位はももとムネ。
なんとも奥深い出汁、そしてパワーはあるが上品な身質と旨み。派手さではなく、染み入るおいしさ。言葉にしがたい美味しさが、じわじわ余韻に残ります。
北陸の食材を使いこなすだけではなく、ご自分が生まれ育った郷土の食材を献立の中へ入れてくるところにも、「木佐貫さんの料理」が印象つけられました。

 

・お食事 お米はのとひかり
お米は「のとひかり」。

そして、お代わりにはマグロの漬け丼、アラ天丼を選びました。


ここまでしっかりとしたコースを食べた後なのに、最後のご飯でもう一度食欲を呼び戻されます。

・玉蜀黍葛寄せ
最後に登場したのは、玉蜀黍の葛寄せ。玉蜀黍をデザートに持ってくるという意外性。
旬の玉蜀黍が持つ自然な甘さと、葛のなめらかな質感と滋味が木佐貫のラストを飾ります。
最後まで「次に何が出てくるのだろう」と思わせてくれるお献立でした。

「木佐貫」片折料理長の独立店!2025年4月18日にオープン。金沢の名店誕生