ビーフステーキ専門店「ひよこ」これが金沢の伝説。半世紀以上も前から熟成ヒレステーキ1品勝負。現在の価格は?昭和の東京オリンピックの年に創業。2021年2月で丸57年!

料理: 7.2 その他: 7.0 ポイントについて
ひよこ (ひよこ)
営業時間 16:00~(日曜祭日は13:00~)
定休日 月曜 月曜祝日の場合は営業、その他不定休あり電話で予約のうえ訪問を
価格帯 ヒレステーキ12,000円のみ(アルコールは別)
訪問回数 15回15回以上

金沢グルメの中でもとびきり異色を放っているのが、絶品ビーフステーキが食べられる掘っ立て小屋レストラン、その名も「ひよこ」です。創業は昭和39年2月11日(ですから2021年2月でなんと丸57年です)。この年は「1964年 東京オリンピック」が開催された年でもあります。昭和から平成を走り抜き、令和となりました。
お肉は熟成肉。近年は日本で注目を集め熟成肉がブームになりましたが、ひよこさんは(ドライエージングではなくオイルマリネですが)半世紀以上も前からずっと熟成肉を提供しているわけですから、ある意味かなりの先駆けです。私も年に数回は訪れていますが、その“おいしさ”と“その他の要素”(後記)に、食べに行く日は朝からウキウキで、お店に着いた頃にはもうテンションMAX。というのは私だけではないはず。
※注意:支払いは現金のみです(カード不可)。

最初の度肝ポイント お店のビジュアル

まずお店に到着して必ず驚くのは外観です。掘っ立て小屋?バラック?プレハブ小屋?のような簡素でコンパクトな造りで、まるで街のラーメン屋さん風。初めてなら、「え?本当にここでいいの?」「大丈夫?」と疑念を抱かずにはいられないでしょう笑笑。(現に、今まで何度かラーメン屋と間違えて入ってきてしまった人がいたのだとか、、、。)



いろんな意味で、入り口扉を開ける瞬間のドキドキ感ったらないですね。
恐る恐る扉を開けると、ピシッとコックコートを着たシェフが迎えてくれますから、2度目のドッキリです。

地元のファンはもとより、県外からもわざわざ訪れる方が多く、食通の方やタレントさんもたびたび足を運ばれています。高倉健さんが贔屓にされていたのは有名な話です(店内にもお写真が飾られていますよ)。

メニューはひとつだけ サイドメニューなんてありません

メニューは、開業当初からずっとある「ビーフステーキ」1品のみです(金額は後記)。
ちなみに(現在はプチ模様替えで変わってしまいましたが)、店内にメニュー表がありました(笑)
どこにあるかわかりますか?

ここに小さく書かれています。
ちっさ!(笑)

当時、メニュー表の有無を聞かれてて(しぶしぶ?)書いたのがこれらしいです、、、。

席に着いたら流れに身を任せるべし

店内は外観から想像できるようにかなりコンパクトです。椅子は8つ並んでいますが、満席でお客さんを入れていることは見たことがありません。8人入れようと思ったら(きっと)入りますが、かなりギューギューですから、余裕を持たせているんでしょうね。私の経験値の中ではMAX6人。
そして目の前すぐに鉄板が。ここが店主である林肇さんの舞台です。お客さんが席につくと、「焼きますね。」の一言を合図に調理開始。お客さんの視線は、林マスターの手元に釘付けになります。




手際よく焼かれていくヒレステーキ、そして立ち昇るいい香りに胃袋がそわそわしてきます。
それらが調理されている間に出てくるのが、キューリとトマトのサラダです。内容は季節で変化することなく通年一緒です。

究極の逸品 実食!おいしさの秘密とは

あっという間にビーフステーキが出来上がり目の前に。ああ、これこれ!また会えた喜びで胸がいっぱいです。


お肉は一人前約280グラムと、結構なボリュームがあります。付け合わせの野菜などもゴロゴロと大胆な大きさですから、これらを併せるとけっこうな量に。こちらの付け合せも内容は旬で変わるわけではなく通年一緒です。
ヒレステーキは中がレアな焼き加減でうっとりする柔らかさ。

タレが醤油ベースであっさりしていて、ほんのり胡麻油が香り、その風味にもそそられて次へ次へと箸が進んでしまい、気付いた頃にはお皿が空に。西洋わさびもアクセントに良いですね。

ひよこの美味しさの秘密は2つ。黒毛和牛一頭から約16人前しか取れないヒレ肉を使用していること。そして、4日ほど(またはそれ以上)オイルマリネして肉を熟成させてあること。赤身と霜降りの脂肪部分が馴染んだら美味しい合図で、灰汁も消えて雑味がなくなるそうです。

なんせメニューは1品ですから、滞在時間は30分とあっさりしたものですが、強烈に印象が残るお店で、一度食べたら忘れられません(笑)
本当にキッカリ30分なんですよね・・・。
ちなみにご飯はありません。ご飯を出さない理由を伺うと、「炊き方知らないんだよね。」という回答が返ってくるのも有名です。

さてここからは、あまり知られていないひよこ情報です。

店主の経歴とひよこ開業まで

店主の林肇さんは、昭和15年(1940年)2月11日、石川県輪島生まれの能登っ子(私と一緒)です。
中学を卒業後(ということは16歳で)神戸のにある西洋料理店で働いていたそうです。さらにその後金沢に戻ってからは、「狸茶屋」という洋食店に努めます。
当時の写真がこれ。お若い!お若いです~。

この頃は、お店での調理はもちろん、今で言うケータリングのようなこともよくしていたそうです。

お店の写真はこちら。

「GRILL 狸」と書いてありますが、そうここ、小立野にある「グリルNEW狸」さんの元祖のお店なんです。
「狸茶屋(GRILL 狸」は、現在は片町スクランブル交差点から長町方面に走る中央通りにあるコンビニエンスストアポプラさんのある場所です。
ここに「喫茶店ぼたん」と「狸茶屋(GRILL 狸」が棟続き(同じ建物)であったそうです。
(大通りに面していた)ぼたんがあった場所の隣と言えば、生粋の金沢人ならピンと来る方も多いはずです。

狸茶屋で腕を振るったのち、昭和39(1964年)2月11日に今の場所に今の建物で開業(ご自身のお誕生日ですね)。ということは林さん若干24歳の時の独立ということになります。若い!というか早い!修業先などから独立して自身のお店を持たれる料理人の方は、30歳前後の方が多い印象ですが、(建物は掘立小屋にしろ)24歳で自分のお店を持つとは度胸ありますね。
そして、この年は「東京オリンピック」が開催された年でもあります。

「1964年 東京オリンピック」(第18回夏季オリンピック)1964年(昭和39年)10月10日(後の体育の日)から10月24日までの15日間開催された。
いよいよ2020年に開催される「2020年 東京オリンピック」(第32回夏季オリンピック)2020年(令和2年)7月24日から8月9日までの17日間開催。

昭和の東京オリンピックの年に営業を開始し、平成を走り抜き、令和でまた東京オリンピック年を迎えるとは(無事に開催されて欲しいです)。

その建物を現在まで改装工事することもなく、移転することもなく、今日まで歩まれているわけですから、ここもまたレジェンドたる所以です。  
林マスター「建物よりも味で勝負しようと思ってるからね」とニッコリ(笑)なるほど!
でも、開業当初はご苦労もあったようで、まず今のように食材がすぐに手に入るわけではありませんから、肉の仕入れが大変だったそうです。
そのため、当時のメニューには豚カツやスパゲティ、ビーフカレーなどもあったそうです。
しかし、やっぱり一番人気はこのときからビーフステーキだったそうです。
(ちなみに、今から42年前の昭和46年(1971年)に発行された「百万石たべあるき」というグルメ本にもひよこが載っていました。今では無くなってしまったお店が大半の中で、ひよこさんを見つけて興奮しました!)

なぜひよこ? 店名の不思議

ひよこという店名ですが、考えたら不思議ですね。“ビーフ”ステーキなのにひよこ。何か由来があるのだろうか、何か大きな思い入れがあるのだろうか、、、。考えたら不思議ですね。
林マスターに伺ったところ、お店を始める前にここにあったのが「ひよこ」という名前の屋台だったそうです。そこに飲みに通っていた当時青年の林さん、屋台の大将に「ここを譲るから頼む」という話を酔っ払いながら話していたのが、そのまま店名になったのだとか。屋台は、提供していたのが焼き鳥(鶏肉)だったため「ひよこ」だったんですね。そのまま店名を引き継いで、ずっと変えないなんて、林マスターらしくもあります笑

現在のひよこ 価格と営業日

2021年2月11日で、林マスターは81歳に。「ひよこ」は創業から丸57年に。半世紀以上の長きに渡って愛されてるということになります。しかも2代目や3代目ではなく、初代だからスゴイことですね。

気になる現在のビーフステーキの価格は、
1万2,000円(2018年3月改定)です。

振り返ると、何年か前は7000円だったのが8000円になり、増税と共に9000円になり、2016年6月からはついに1万円台に。ですが、お肉の原価もどんどん上がり、やむなくということでした。(今後も値上がりしちゃう可能性はあると思います。上がってほしくないけど。本心)1食1万円以上ってなかなか出せるものではないのですが、それでもファンの胃袋を掴んでいてリピーターも多い。私のようにひよこ貯金やひよこストックしている方もいるはず。

※定休日は基本的に月曜ですが、それに加えて火曜もお休みされている場合もありますから、予め電話予約の上訪れてください。

林マスターが半世紀以上、自身お一人で頑に守り続けて来た究極の逸品。
何かのご褒美として理由をつけ、また足を運びたい。