【ビーフステーキひよこ 閉店】林マスター58年間ありがとうございました!たくさんの人の思い出に刻まれる味。金沢の名物店!

ついにひよこが、2022年6月30日の営業をもって閉店しました。
私を最後の最後のお客さんにしてくれました。本当にありがとうございました。

ひよこ閉店に、「え、本当に?」「嘘でしょ?」という声が聞こえてきそうですし、私もまだ心では受け入れられていません。

ここ数年、何度か半分冗談めかして「今月で辞めようと思っとる」「もうしんどいし終わりやなー」と言っていたので、聞いた時もいつもの冗談かなと思っていたのですが…。
しかしながら今まで何度も自分の中でのせめぎ合いはあったのだと思います。来てくれるお客さんの笑顔と「マスターおいしかったよ」の喜びの声、反面、体力的な限界を感じながらの日々で、(重い肉を持つので)職業病で肩のメンテナンスも継続的にずっとされていました。肉も良いものが入らなくなってくるし(あってもどんどん高くなるし)など、葛藤があったようです。

創業は1964年(昭和39年)2月ですから、2022年2月でなんと丸58年でした。
「1964年 東京オリンピック」が開催された年に開業し、昭和から平成を走り抜いて令和となり、2021年(令和3年)に開催された「2020年 東京オリンピック」を迎えました。
コロナ禍もあった激動の2020年と2021年。「次のオリンピックまでは」という目標を掲げ、頑張ってきました。

「閉店することにした」と決定的なことを聞いたのは、2022年6月23日、私の誕生日に1人で訪れた時でした。

最後は静かに幕を閉じたいというマスターの強い思いがあったので、私から事前に皆さんにお伝えすることができませんでした。ひよこが閉店することが表に出てしまうと、そもそも閉店の日までずっと満席で埋まってしまっているのに、予約電話が殺到してしまい、全部お断りするしかなくなるし、メディアに取り上げられるとまた大変ということで、私からの事前のお知らせは控えました。
(それでも一部の人から話が出てしまい、営業中も電話がずっと鳴り止まない状態でお店は混乱しました。)

マスターがこの世界に飛び込んだのは16歳の時で、最初は住み込みで神戸の洋食店に修行に行きました。19歳で金沢に戻り、中央通りにあった「狸茶屋」に入ります。この時も住み込みだったそうです。


独立したのは24歳の時。
この時代に花形とされたのはホテルレストランへの就職でしたが、マスターは郊外でこの小さなお店を開業したわけです。当時から尖っていたマスター(笑)全国で知られる金沢の名物店となりました。
熟成肉のビーフステーキを焼き続けて58年。本当に尊い歩みです。


辞めることにしたと聞いた日は、泣きながらマスターとビールを飲みました。
私が初めてひよこの存在を知ったのは、大学生の時。「すごいステーキのお店がある」と噂に聞き、いつかひよこに行くということが夢でした。初めて食べた時はお肉はもちろん、いろいろ衝撃でした。
掘っ立て小屋レストラン、メニューはビーフステーキ1品のみ、ご飯はなし、ずっと前から熟成肉をやってる、高倉健さん御用達、入店から退店まで30分など、他にはないひよこならではのスタイルをずっと貫き通しているのも大好きでした。

ついに来てしまった6月30日、営業最後の日。
醤油ベースのオリジナルソースの絶妙な美味しさ、厚めにカットされた柔らかい熟成肉、袖触れ合うコンパクトな空間、この雰囲気で食べるからこその味わい。永遠に忘れません。

涙を流しながらこの記事を書きました。
金沢の宝、たくさんの、本当にたくさんの方の思い出に刻まれる名店。色々思いが溢れてきて胸がいっぱいです。
書きたいこと、伝えたいことがまだまだたくさんありますが、今はまだ整理できません。
いつかこの日が来ると分かっていましたが、できればこの日は永遠に来てほしくなかった。

大切なステーキ皿を1枚頂いてきました。美味しい歴史が刻まれたお皿です。宝物にします。

マスター今までお疲れ様でした。ありがとうございました。
ご馳走様でした。

ひよこ、本当の閉店です。

こちらはマスターの82歳の誕生日のお祝いの時の写真。
TEATONのたぬきケーキ大でお祝いしました。マスターは狸茶屋出身なので、昭和に流行したたぬきケーキが良いと思い作ってもらいました。

ちなみにマスター、「店を辞めたらやりたいことがあるんや!」と目を輝かせています。
気持ちはとてもお元気ですので、また別の形でご活躍が見られるかもしれません。

お店紹介の記事はしばらく残しておきます。

【閉店】ビーフステーキ専門店「ひよこ」これが金沢の伝説。半世紀以上も前から熟成ヒレステーキ1品勝負。現在の価格は?昭和の東京オリンピックの年に創業

【ビーフステーキひよこ】
・紹介項目
最初の度肝ポイント お店のビジュアル
メニューはひとつだけ サイドメニューなんてありません
席に着いたら流れに身を任せるべし
究極の逸品 実食!おいしさの秘密とは
店主の経歴とひよこ開業まで
なぜひよこ? 店名の不思議
現在のひよこ 価格と営業日