辻口博啓氏が2018年世界最高評価金賞を受賞した「陰翳礼賛ボンボンショコラ」食べてみました!

パリ市内で開催された世界最大のチョコレートの祭典『Salon du chocolat(サロン・デュ・ショコラ)』(2018年10月31日~2087年11月4日)にて、石川県七尾市出身のパティシエ辻口博啓氏が今年も最高格付けの金賞を受賞しました。これで6年連続ということになります。2018年、本年度テーマにしたのは、日本古来の美意識である「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」です。このコンテストにはNo.1〜No.4までの4種類のボンボンを出品しなければならないということで、「陰 In」、「翳 Ei」、「礼 Rai」、「讃 San」を名にした4つの味を作り上げました。こうじや味醂、酒、味噌といった日本の伝統発酵食品も巧みに組み合わせてあるのが革新的。さらに山椒や加賀棒茶も取り入れ、和の風味を大切にしてあります。まさに辻口氏の座右の銘「和をもって世界を制す」が感じられるボンボンです。
ビジュアルも陰翳礼讃らしさがクールに伝わるデザインでした。(HPから確認できます)。

私も早速食べてみました。

まずは審査員の講評です。

審査員講評

(審査員コメントはLE・CHOCOLAT・DE・H ショコラドゥアッシュさんHPより引用) 
http://www.lcdh.jp/global/?fbclid=IwAR2MJfmmoOOzFo4ybi4CXolU1MWO3oeaKa45u4saGtbI2Vr2JCq2YY4Hi-E
C.C.C. ガイドブック
「LE GUIDE DES CROQUEURS DE CHOCOLAT」2018審査員講評

長年にわたって言われていることだが、日本のショコラティエはフランスのショコラティエに取って代わろうとしている。
辻?口博啓氏は並外れて素晴らしく、一度味わったら忘れられないショコラを創り出す。彼の作品は傑出しており、プレゼンテーションは完璧で、味のバランスも素晴らしい。彼の新しいコレクション「陰翳礼讃」はその象徴とも言える。本作品から感じられるカカオの闇に隠れた味わいは、真の味の宝石の小さな金魂のようである。
「讃」は限りなく繊細である:珍しい風味がこの上なく素晴らしい。「礼」 はすばらしいプラリネである。ふたつの素材が相互に浸透した味わいを作り出している。「翳」は実に味わい深い。チョコレートとアプリコットのマリアージュが口の中で燦然と広がる。

ボンボン解説とあすか味わいコメント

(ボンボンの解説はLE・CHOCOLAT・DE・H ショコラドゥアッシュさんHPより引用) 
http://www.lcdh.jp/global/?fbclid=IwAR2MJfmmoOOzFo4ybi4CXolU1MWO3oeaKa45u4saGtbI2Vr2JCq2YY4Hi-E

【No.1 陰 In】

北海道産生クリームに米こうじ粉を加えしっかりたき上げ、エクアドル産カカオに加え、次に米のリキュールであるみりんを加え乳化させガナッシュを作り、発酵のマリアージュを表現しました。お互いの発酵のうま味が闇にかくれた深い味わいを導き出したスペシャルなボンボンショコラとして表現した。エンロービングショコラはカカオ分70%のショコラノワール。 

(あすかコメント)みりんのまあるい甘みが時間差で立ち上がってきて、みりんってこんな優しい味だったんだと日本人が再発見できるボンボンかもしれません。

【No.2 翳 Ei】

ガーナ産カカオは果実と後からくる栗の風味を持つカカオで 。そこに、アプリコットの果肉をしっかりと凝縮してから合わせ、アプリコットを丸ごと食べるイメージでガナッシュを作り上げた。そこに11年熟成させた味噌とキャラメルでベトナム産カカオを使って大地の香りを表現したガナッシュを1/4層にして、重厚なボンボンショコラを作り上げた。
エンロービングショコラはカカオ分42%のショコラオレ。 

(あすかコメント)生味噌が持つ酸味と懐かしみのある深い旨みが、アプリコットの酸味と骨太な甘みにピッタリ来ている。絶妙なバランス感でお互いを昇華させている。4種の中で個人的にこれが一番好きでした。

【No.3 礼 Rai】

ふくよかな日本酒の香りは日本のエスプリを感じる素材である。そこにショコラブランを使用してガナッシュを作り、もう一層はスペイン産アマンドで自家製プラリネを作り、アリバカカオを加え、なおかつ米の粉を小さな粒に圧縮させて作ったスフレを加え、さらに軽やかな食感を出した。米の発酵を活かした和のプラリネを表現した。
エンロービングショコラはカカオ分42%のショコラオレ。 

(あすかコメント)米のスフレが口の中で小気味良いカリカリ乾いた音を奏でふくよかな香りを立たせる。いわゆる日本酒!という主張とはまた違ったアプローチで、酒らしいというよりもイメージ的にごはんらしさとして伝わった。米の発酵×カカオの発酵、それらのマリアージュが生み出した新しい味だろう。

【No.4 賛 San】

ベトナム産カカオの甘草の香りは、日本のエピスである山椒との相性が最高に良い。 北海道産の生クリームに米こうじ粉を炊き込み乳化させた山椒のガナッシュと、センター部分には加賀棒茶を使ったジュレをしのばせ、珠洲の塩で全体を調律し、和のよろこびの味わいを表現した。エンロービングショコラはカカオ分70%のショコラノワール。 

(あすかコメント)加賀棒茶の香ばしさとジュレの聡明でみずみずしい舌触り、塩のテクスチャーと塩の対比効果でバーンと前に現れる隠れた甘み、山椒の刺激、、、口の中で様々な味が登場するのでまず驚きがある。迷子になる心地よさを味わいながら、じわじわと1つの味になっていくのも面白い。余韻に残るのは、山椒によって引き出されたカカオの旨み。なんだかセクシーで掴みどころのない大人の女性のようなボンボンだ。

この陰翳礼讃ボンボンショコラですが、日本での発売はまだ未定だそうです。バレンタイン前(か早ければ年内)かもしれないがまだ未決定だそうです。
LE・CHOCOLAT・DE・H (ルショコラドゥアッシュ)HP
http://www.h-tsujiguchi.jp/brand/lcdh/