【ガストロノミック能登】ラトリエ池端隼也さんら能登のシェフ5人によるガラディナー。柴野大造さんのガストロノミージェラートにも注目!

2020年2月9日、輪島にて能登に拠点を置く5名のシェフによるガラディナーが開催されました。能登の地で表現する“Local Gastronomy(ローカルガストロノミー)”。能登の宝と言える大地と海の恵みや伝統工芸、さらに継承や可能性も考え、将来を見据え、シェフたちが結集し表現するディナー。会を重ねることにムーブメントを起こしていくに違いないと思います。
会場となったのは輪島にあるフランス料理店「L’Atelier de NOTO」さん。


↓参加シェフは(左から)、「マルガージェラート」柴野大造さん、七尾のモダンイタリアン「Villa della Pace(ヴィラデラパーチェ)」平田明珠シェフ、「L’Atelier de NOTO」池端隼也シェフ、日本料理 川嶋亨さん(七尾市一本杉に店舗準備中)、和倉「ブロッサム」黒川恭平さん

今回特に注目だったのは、ジェラート世界一のタイトルを持つ「マルガージェラート」柴野大造さんの“ガストロノミージェラート”。これは料理に合わせる調味料としてのジェラートです。予想以上の完成度に驚きがありましたし、コラボレーションイベントの意味と役割も大いに果たしていました。今回はガストロノミージェラート3種、デザートとしてのジェラート4種類を披露。柴野さんは曰く、ジェラートは科学。そして基本的になんでもジェラートにできるとはいえ、シンプルだからこそ「これだ!」という味に辿りつくまでは毎度かなりの試作をされているそうです。究極を突き詰める情熱と探究心、数字と感性。そして牧場のストーリーまでジェラートに溶け込ませ、味の小宇宙を魅せてくれるところは、さすが世界の柴野。2018年の「Coppa del mondo della gelateria2018(ジェラートワールドカップ)」でガストロノミージェラート部門でも1位を獲得したそうです。

●鯖の小松菜クレープ【池端隼也シェフ】
能登の里山里海をイメージした一皿。器にしているのは“あすなろ”の切り株。あすなろは、アテ、能登ヒバと呼ばれており、輪島塗の生地に欠かせない材料です。液体化させたガラスを吹き付けて油分が染み込まないように加工してあります。小松菜のクレープが茂る里山を見事に表現していますね。


●お吸い物【川嶋亨さん】
コンセプトは“手仕事”。胡麻を煎って練り上げ、手仕事で胡麻豆富に。吸地は、削りたて鰹節に七尾白井さんの3年熟成の利尻昆布で、塩は加えず、塩味は胡麻豆富にのせたこのわたから。吸地に塩味のグラデーションができます。ペアリングは池月。

●能登の海の幸【池端隼也シェフ】
能登の海の幸を味わう一皿。バイ貝、ガス海老、イカ、ハーブ、エディブルフラワーをのせて。
ペアリングは、収量の少ない自然栽培米で仕込んだ白藤酒造さんの酒。


●能登原木しいたけ【平田明珠シェフ】
能登原木しいたけは、70度で8時間オイル煮にして、金柑をのせパン粉でカバーし香ばしく仕上げてあります。原木椎茸が生産されている背景をイメージした一皿で、野草5種と野イチゴをあしらって美しい野山を表現。肉厚の原木椎茸は、こういう火入れをすると、食感にアワビらしいニュアンスが出てきます。ソースは、魚介出汁ベースにイカ墨と海藻で濃度をつけてあり、原木椎茸がよりアワビのように感じられました。

ペアリングは13年ものの古酒。

グラスは能登島のガラス作家 有永浩太さん製。なんと吹きガラスで作られているので、膨らみが左右非対称で、その景色も味わい。なんだかとっても愛おしいグラスです。

●能登の冬の畑【黒川恭平シェフ】
里山の冬を表現した一皿。雪の下で静かに糖度を増す野菜が想像できます。玉ねぎ・人参・ほうれん草をそれぞれに合った調理法で。シーザードレッシングを液体窒素でパウダー状にしてふりかけます。幻想的な能登の冬の光景がお皿の上に。
*レタスのガストロノミージェラート【柴野大造さん】
レタスのフレッシュ感と青い味わいが口の中でパッと開くガストロノミージェラート。オリーブオイルと塩で調整し、糖質は極力控えたそうです。

●蒸しかぶらずし【川嶋亨さん】
輪島の名物“柚餅子”をイメージした温かいかぶらずし。ゆず釜にすし酢を合わせたもち米と糀漬けの鰤、能登かぶらのすりながしあんをかけて蒸して。立ち上る湯気に乗って柚子の風味が鼻腔をくすぐります。輪島キリモトさん製のスプーンで。
ペアリングは、どぶろく特区である中能登の織田好子さんのどぶろく。


●能登島イノシシ【平田明珠シェフ】
能登島の3キロのメスのイノシシを米飴でマリネしてから焼き上げます。焼きリゾットには、イノシシが大好きなサツマイモを入れて自然の甘さを添え、野草茶で炊き上げ滋味をプラス。セリのタプナード、のびるピクルスを付け合わせて。
*カラコナのガストロノミージェラート【柴野大造さん】
カラコナ(穴水のマスタード)のガストロノミージェラートをイノシシと合わせます。粒感もありマスタードなのですが、甘さの調整が絶妙。お肉と合わせたときに味わいが完成する、これぞ調味料としてのジェラート。温冷のグラデーションもいいですね。

●輪島マフグ【池端隼也シェフ】
能登フグのミキュイ、春菊ソースと温かいスープを注いで。このスープは椎茸をベースに、今回のこのコースを作るにあたって出た切れ端など全部から取ったスープです。

●能登牛の煮込みハンバーグ【黒川恭平シェフ】
能登ワインのクオネス(赤ワイン)をペアリングで。
*バゲットのガストロノミージェラート【柴野大造さん】
この、バゲット味のガストロノミージェラートが素晴らしかったです。焼きたてのバゲットの香ばしい風味をジェラートに移してあります。風味が鮮烈。バゲットをたくさん入れるとグルテンが出てくるので、絶妙なところで仕上げているのだそうです。これは単体としても完成されているし、パンの代わりとしても面白い。


●デザートジェラート4種【柴野大造さん】
モッツァレラジェラートは、「プロフェッショナル仕事の流儀」でも開発の様子が映し出されていましたが、モッツァレラならではの“フレッシュ感”が活きていて、今までのミルクを超えるリッチ感が美味です。さくらジェラートは、ビーツで色を加え、少しのブランデーで奥行きを出してあります。大納言小豆ジェラート、どぶろくとビターチョコのジェラート

私も能登出身ですが、まだまだ知らない能登の魅力を料理を通してシェフが教えてくれますね。平田シェフがおっしゃっていましたが、掘り起こすとどんどん新しい発見があるのが能登。どのように料理に昇華されるのか、次回も楽しみにしています。

[post_in_the_content villa-della-pace] [post_in_the_content malga-gelato]