【片折】秋:能登松茸

片折さんの秋のコース(有難いことに能登松茸)のご紹介です。(訪問日 2023/10/24)

「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)


今年はダメかなと思っていた能登松茸。たとえ2年前から予約していようが、松茸が出るタイミングに当たらないと食べられないわけですから、本当に食運がモノを言います。松茸不作のハズレ年もありますし。
しかも、片折さん訪問の近々ではどの和食店でも食べられなかったので、今年は無理だろうなと95パーセント諦めていたのですが、神々しい能登松茸が登場し興奮がMAX値に。眼福。

感謝しかありません。脳と舌に刻み込むようにいただきました。神様、今年もありがとうございます!
それにしても片折さんはこの時期は毎日本当にプレッシャーだろうな。

●能登松茸 刺身
まずはスッと包丁を入れてお刺身で。鮮度が良いので、パキンと口の中で割れます。
能登松茸というとシナモンのようなウッディーなアロマが特徴なのですが、時期初めなのでもっと上品な風味でした。アロマの広がりと余韻が素晴らしい。食べ手のスイッチをオンにしてくれるプロローグ。

●能登松茸お粥
開店初年度から出しているのがこの松茸粥です。片折さんの松茸料理を食べたことがある人は「あの松茸粥よかった」と必ず話に出します。薄くスライスした能登松茸がたっぷり入っていて、風味と共に食道を落ちてゆき、胃袋をぽわっと温めてくれます。
ああ、今年も食べられて感激。もうここで仕上がった感があります。

●毛蟹 お吸い物
豪華で繊細な150年前の塗り物にて。
椀種の毛蟹真薯は、真薯というよりも、ギリギリの繋ぎで優しく寄せただけ。レアでとぅるんとぅるんの舌触り。
昆布を少し強めの比率にしてあり、吸い地を単体でテイスティングしても素晴らしいけど、蟹と合わさった時にその威力を最大限に発揮していてパーフェクトな仕上がり。
目を閉じてしばらくその美味しさに浸ります。

●お造り ヒラメ 七尾、アオリイカ 氷見

●白海老 磯辺揚げ
身剥きした白海老は透明感あり妖精のように美しい。サクサクとした磯辺揚げに乗せて、、白海老に足りない食感を補ってあります。

●ヒラソウダガツオ、鯵

●カマス幽庵焼き

●能登松茸 焼き
世界一の松茸料理!この調理法を編み出したのがすごい。

繊維に沿って流れるように切れ目を入れて、その切れ目を上にして、下からのみ炭火で火入れ。時にはホイルで熱を閉じ込め、目を見張りながら焼き上げます。
しばらくすると切れ目からほんのり色付くツユが湧き上がってきます。このジュを出させる作業がこの炭火焼き。
清らかでエレガントな雫が、心の琴線に触れる。
身は焼くと繊維が出てきてシャクシャクとした食感に。

●里芋の田舎煮
片折さんの伝統レシピの中でも大好きな料理の一つ。氷見の原種の里芋を使用した煮物で、煮干しの風味を乗せてほんのりと甘く仕上げているのがポイント。ほっこり、しみじみ心まで入ってくる美味しさ。

●辛子蓮根
加賀れんこんを美味しく食べさせるために編み出した一品。辛子レンコンを加賀れんこんで再現。
紙を持ってハホハホと口に入れると、れんこんの滋味と、辛味はあるがまろやかで香ばしく新しい美味しさが広がり驚きます。辛子の部分は卵黄も混ぜ込んであるので、シャープな辛さはなく、衣にはきな粉も配合しており、ホコホコと旨味が余韻します。

●能登松茸 牛巻き
3年目(いただいたの3度目)かな。年々ブラッシュアップさせてあり、今年は氷見牛を使用し、火入れも調整してあり美味しくなっていました。
中には針にした松茸が詰まっていて、口の中でほどけます。

●ひろず 珠洲 干ぜんまい
ふわっと炊き上がった繊細なひろずのテクスチャーに合わせるように、珠洲のぜんまいも灰汁をしっかり抜いて柔らかく炊き上げてあります。品の中に懐かしみがある、心に染みる一品。

●お食事
コシヒカリ一等米、香の物
能登松茸味噌漬けが美味でした。ベビー松茸のスッとした爽快感と食感に、発酵の旨味がマッチしていて絶品。


クエ天丼、鯵とヒラソウダ鰹漬丼、卵かけご飯、梅干し、おこげがありました。

●栗きんとん 宇出津
貫禄あり、軽く繊細。素材を活かし、素朴な食材を最大限美味しさとして昇華させてあり、最高のコースの締めくくり。帰り道も夢心地です。

「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)