ひがし茶屋街の奥に、静かに暖簾をかけるそば会席「蕎味櫂」さんの2024年1月13のコースです。
櫂さんの冬のコースは、大好きな季節の一つ。
静かに、控えめでありながらしっかりと存在感を残していく、そんな美しさがあります。
●白味噌、雲丹、百合根
ほっこり甘い百合根と白味噌、濃厚な雲丹が三位一体で調和。雪がちらつく日の最初の一品にぴったり。
●そばがき
櫂さんのそばがきはいつも秀逸で、温かくほちゃっとした食感に軽やかな滋味が重なります。
醤油麹と蕗のとうの発酵のコクと凛とした苦味を添えて。
●寒鰤 氷見、紅芯大根
●お吸い物
赤がパッと鮮やかで美しい、毎冬出してくださる椿の輪島塗。
食材の彩も美しくて、新年らしいお吸い物に心躍りました。とろっとした口溶けの甘鯛と繊維な自家製からすみと。
●八寸
真鱈の白子、鯛のそば鮨、鰊の昆布巻き、合鴨ロース、松葉に黒豆、子持ち昆布、才巻きエビ
新年を迎えられた嬉しさに浸れる、縁起物入りの、1つ1つ丁寧で繊細な八寸。
●蟹蕎麦
蟹を添えた温かいお蕎麦は、冬の寒さを胃袋の中からぬくぬくと温め、旨味が全身の細胞に染み渡るようでした。
●海老 天麩羅
櫂さんの天麩羅は素晴らしいので、いつもは天麩羅を自分から食べたいと思わない私も心待ちにしている逸品です。運ばれて食べるときに火入れがちょうどになるようなレア感とサクサクきめ細かい衣も素晴らしいのです。
●おそば
真骨頂である直球のおそばを、外さずにど真ん中で決めてくるあたりがさすがです。繊細でしなやかな滋味、喉越しとキレ、パーフェクト。
●いちご大福
まんまるのいちご大福。作りたてというだけで心躍るのですが、お餅は求肥に更科を混ぜたもので、一呼吸置いてほんのりとそばの野趣が立ち上がり、櫂さんらしさとこだわりを最後まで感じさせます。粒あんの滋味とも好相性。