2021年12月6日(月)、黒龍酒造株式会社(本社福井県吉田郡永平寺町松岡春日/代表取締役 水野直人 氏)にて、東京・南青山にあるレストラン「NARISAWA」の成澤由浩氏と国内外で和牛事業を手掛ける「WAGYUMAFIA」の浜田寿人氏が、「おにぎりプロジェクト」(#onigiriforlove)を行いました。成澤シェフと浜田シェフによる同プロジェクトは、“食のプロが心を込めてつくるおにぎりを通して医療従事者の方に感謝の気持ちを伝えたい。”を目的とし、これまでに日本各地で10回開催しており、11回目がここ福井の黒龍さんでの開催でした。
(写真左から、成澤シェフ、黒龍水野社長、WAGYUMAFIA浜田寿人さん)
WAGYUMAFIAとは、
「ニッポンの和牛を世界へ」というコンセプトを掲げ、実業家として知られる堀江貴文氏と、世界的に和牛輸出を行う浜田寿人が2016年に会員制レストランを設立。現在世界で11店舗のレストランを展開している会員制和牛専門店です。
オーナーシェフ 浜田寿人氏は、チーフクリエイティブ・プロデューサーとして、85都市の WORLD TOURを行っており、ラスベガス MGMグランドでのショー、王室での晩餐会、デイビッド・ベッカム夫妻20周年の記念ディナーなどを担当。2021年「THE BEST CHEF AWARDS TOP100」に選出される。2022年にはロンドン旗艦店がオープン予定。
WAGYUMAFIA HP : https://wagyumafia.com
NARISAWAとは、
日本の里山にある豊かな食文化と先人たちの知恵を探求し、自身のフィルターを通して料理で表現する、“イノベーティブ里山キュイジーヌ (革新的里山料理)”というNARISAWA独自のジャンルを確立。自然への敬意を込め、心と体に有益で、環境に配慮した持続可能な美食 “Beneficialand Sustainable Gastronomy”を発信し続けている。
オーナーシェフ 成澤由浩(なりさわ よしひろ)氏は、2010年スペインの世界最高峰の料理学会「MadridFusion」にて、「世界で最も影響力あるシェフ」に選ばれる。2018 年 国際ガストロノミー学会において日本人およびアジア人として史上初グランプリ受賞。2019 年G20大阪サミットの首脳晩餐会の料理を担当。料理界のアカデミー賞と呼ばれる“ワールド50ベストレストラン”に現在まで12年間連続で選出中。
NARISAWA HP : http://www.narisawa-yoshihiro.com/
おにぎりプロジェクト( #onigiriforlove )とは、
「NARISAWA」オーナーシェフ成澤由浩氏と、「WAGYUMAFIA」浜田寿人氏が日本各地の酒蔵を巡り、その土地の自然環境から生まれる米と水で“おにぎり”をつくるプロジェクトです。
日本各地の海、山、畑を訪れ、その土地の生産者や漁師など、自然と向き合っている方々との出会いからその土地の文化、歴史を学び、 紐解き、様々な個性豊かな”おにぎり”を作ります。
米と水でつくる 日本人にとって最も親しみがあり、最もシンプルな料理 “おにぎり” を通じて、日本の食の魅力を世界に発信します。
”おにぎり”は蔵人や近隣の料理人達と一緒に作り、まだまだ終わらないコロナ禍と向きあう医療従事者の方々にお届けします。
この活動は、世界各国のシェフ達から共感され、香港などASIAを中心に、世界のシェフが運動に参加しています。
早朝から始まるおにぎり作り
おにぎりを病院に届ける時間が10:00なので、それを逆算して、炊飯は早朝から行われます。
(NARISAWAチームもWAGYUMAFIAチームも、福井に前日入りをして仕込みを行なっておりました。)
私は当日の早朝3:50に起床して、気合いで着物と割烹着を着て準備。5:00にホテルを出発して黒龍酒造本社へ向かいました。
まだ夜明け前、外は真夜中と同じ暗さで気温もグンと冷え込んでいて痺れる寒さ。眠いし寒い。小雨も降っていて震える寒さなのに全然目が覚めてくれません。
早朝6:00頃、NARISAWAチームもWAGYUMAFIAチームも続々と到着。黒龍さんや福井の料理人さんもスタンバイ済みです。
皆さんの気合いの入った「おはようございます!」の声がけで少し目が覚めてきました。
そして炊飯がスタート。
釜とガスコンロが2台ずつあり、お米が釜7回分あるので、4回戦で順次炊き上げます。
ガスコンロに火が入ると、なんだか気持ちにも火がつくよう。
しばらくしてお米が炊き上がります。炊き立ての、湯気が上がるお米の神々しいこと。
とにかくこたえる寒さの中、皆さん一緒に4時間ほど作業しておりました。
炊き立てのご飯は熱々で、それがせめての暖だったのですが、ものすごい眠気とものすごい疲労感があるはずなのに、おにぎりを握ると皆さん団結力が出てきて、気持ちがこもって黙々と握るし、さらにどんどんワクワクしてくる。なんだろうこの高ぶってくる気持ちは。
おにぎりを全て作り終えた時は達成感で拍手が起こりました。
おにぎりプロジェクト 福井のおにぎりのお味は
おにぎりプロジェクトin 福井は、福井の特産品で構成したおにぎり2種が考案されました。
お米も水も食材も全て福井産です。
(森下左彦:鯖へしこ、黒龍酒造:米麹、飛永悦子:山内かぶら、橋詰製粉所:新蕎麦、竹内英男:柚子、越前隊:山うに、寺坂康夫:味噌、前田玲子:打ち豆、昇竜:九頭竜まいたけ、小西農園:べっぴんねぶか葱、奥井海生堂:おぼろ昆布・蔵囲利尻昆布、徳太夫 山崎康史:いちほまれ(米)、越前塩 ※順不同・敬称略)
1つ目は“へしこおにぎり”。
サバの熟鮓、柚子風味の山内かぶらの糠漬け、かぶらの葉の糠漬け、米麹を混ぜ合わせたものをおにぎりの中に詰め、おぼろ昆布をトッピングします。
2つ目は“新蕎麦のおにぎり”。
ご飯は昆布水と日本酒、さらに蕎麦の実と九頭竜舞茸を一緒に炊き上げます。炊き上がったところで、ネギ味噌を混ぜ込みます。
こちらがその2種類のおにぎりです。
●へしこおにぎり、新蕎麦おにぎり
へしこおにぎりは、発酵食の深みと酸味が絶妙なバランスで、ピンと炊き上がったご飯の美味しさに重なり、かぶらの食感と爽やかさ、柚子の風味がアクセントに効いています。これは美味しい。
新蕎麦おにぎりは、蕎麦の実の粒々とした食感と野趣に、ご飯に相性抜群なネギ味噌がたまらない、福井の山の滋味が感じられるおにぎりです。福井の土地の美味しさがぎゅっと詰まっていました。
ピンク色をした付け合わせは、“うち豆なます”です。“うち豆”は、大豆をつぶして平くして乾燥させた雪国の保存食の一つです。しかしながら石川県や富山県ではあまり食べないのではないでしょうか。福井ならではですね。千切りにした赤カブに、炊き上げて擦ったうち豆を和えてあります。なますに大豆のほっこりした優しい味わいが加わり、箸が止まらないしみじみくる美味しさです。
これらを竹皮に包んで出来上がりです。
梱包が完成し、早速病院へ運びます。
12月6日(日)10時より、福井県立病院(福井県福井市四ツ井 2-8-1)にておにぎり贈呈式が行われました。
150セット300個を届けました。
このプロジェクトは今回で11回目。メニュー作りなどの準備や、前日からの仕込み、当日の作業にもこれだけ労力を使うのに、継続されているというのは本当にすごい。さすが世界のNARISAWA、世界のWAGYUMAFIAです。しかもボランティアでされているわけですから、そのモチベーションはどこから湧き上がってくるのか。
そう、成澤シェフと浜田寿人さんの存在感というかオーラがとにかくすごくて、みんなに「よし行くぞ」とスイッチを入れてくれて、栄養ドリンクみたいにパワーが湧いてくるのです。
おふたりはまるで、曇天をパーっと照らす太陽のような存在でした。
医療従事者の方に感謝の気持ちを伝えたいというのが一番の目的ですが、コロナ禍で売上が大きく落ち込んだ外食業界にとっても、元気をもらえる企画だと思いました。
私は、体力がない方なので、疲労感がもの凄くて終わった後は寝込みましたが、充実感で胸がいっぱいです。
参加させて頂きありがとうございました。
「おにぎりプロジェクトってどんなことしているのだろう」が皆さんに伝わればと思い、記事にさせていただきました。
おにぎりプロジェクトは教えてくれた。
もう一度立ち上がって前を向くことを。本気と継続が世界を変えることを。
私もコロナ禍で止まっていた2年間の針を進めなければ。ここからまた全力で頑張りたい。
気合いの入った「いってらっしゃい」に背中を押してもらいました。
【おにぎりプロジェクト福井協力者(順不同、敬称略)】
◎酒蔵
・「黒龍酒造株式会社」水野直人
◎料理店
・「cadreカードル」(フレンチ) 林真史
・「馳走えん」(日本料理)小松辰平
・「料理屋 みや﨑」(日本料理)宮﨑洋彰
・「鮨十兵衛」(すし)塚田哲也
・「海月」(すし)郷北斗
・「けんぞう」(越前そば)牧野雅恵
・「望洋楼」(蟹旅館)刀根亨
・「光風湯圃べにや」(料理旅館)奥村隆司
・「かわだ」(焼肉)川田知徳
◎食材店
・「奥井海生堂」(昆布)奥井隆
・「彌右衛門」(乾物等)渡辺崇嗣
・「ワトム農園」(野菜等)佐々木済
・「生商」(黒龍吟醸豚 等)野村明
・「徳太夫」(いちほまれ・ジビエ)山崎康史
◎飲食店
・「ブルーライトカフェ」(バー)面野恵
・「ギンチヨ」(ワインバー)南部訓康
・「煉瓦館」 (ワインバー)中村哲也
◎伝統工芸
・越前焼 吉田信介
・「漆琳堂」(越前漆器)内田徹