【ミシュランガイド北陸 2021 特別版】3ツ星は金沢の料理小松さんに!結果と個人的な感想。前回出版の5年前と比較してみた。

(2021.5.21投稿の記事に加筆して再投稿しています。)

2021年5月19日「ミシュランガイド北陸 2021 特別版」の発表がオンラインで行われ、「料理小松」さん(金沢市)が石川県で初めて3ツ星を獲得しました。(今回の発表で、北陸の3ツ星は1店舗のみです。)
ちなみに前回出版されたのは2016年5月31日ですから、5年前ということになります。
前回は「ミシュランガイド富山・石川(金沢)2016 特別版」として発表、今回2021年は福井までエリアを拡大して“北陸版”としての発表でした。

ここからは一個人の感想。
ミシュランさんにお願いしたいことは一つ、「納得のいく評価をしてほしい」ということ。
(納得のいく評価がされていなかったぞという意味ではなく)食べ歩いている人も料理人さんも「確かにそうだよな」「さすがミシュランは調査能力がすごいな」と思える評価をお願いしたいです。なぜならば、特に地方は毎年発表があるわけではなく、“特別版”として出版され、北陸も5年ぶりの出版でした。レストランはここ5年間ずっとその評価だったわけですし、次にミシュランが来るのかどうかさえも誰も分かりませんでした。そして、また次もいつになるのか全く分っていません。
“世界のミシュラン”は、個人食べ歩きの口コミとは重さが違うし、シェフは人生をかけて料理に向き合っているので、慎重にお願いしたいです。
私は発表当日シェフらと一緒に一喜一憂しながら見ました。大好きなお店が数々掲載されていてとても嬉しく思いましたし、反面悔しさが残るお店もありました。
いずれにせよ、掲載されたレストランさん、本当におめでとうございます。
エリアを拡大して調査してくださったミシュランさん、ありがとうございます。次は5年後とは言わずにもっと早めにお願いします。

2016年と2021年で、3ツ星の数は1店舗と同じですが、2ツ星1ツ星は結構増加していることがわかります。そこに福井が加わって、北陸の注目レストランの数がどんどん増えてきました。
【2016年度】
3ツ星:1(富山1)
2ツ星:10(富山1、石川9)
1ツ星:29(富山8、石川21)

【2021年度】
3ツ星:1(石川1)
2ツ星:18(富山4、石川12、福井2)
1ツ星:48(富山16、石川26、福井6)

ここからは星別に見ていこうと思います。

【紹介項目】

3ツ星

料理小松(金沢)

大好きなお店のひとつ、金沢市の料理小松さんが3ツ星ということで大変嬉しく思います。小松大将のお料理はとても端正で、さらに器との調和も素晴らしく“器は料理の着物である”を体現しています。毎度訪れるたびに勉強になるお店です。
本当におめでとうございます。

「料理小松」端正な料理を大将の骨董品愛が詰まった器の数々で奏でる。“器は料理の着物である”を体現

2ツ星

2ツ星が変動大きいので、5年前との比較を入れてあります。県別に見ていきます。

2ツ星 富山 2021年(4店舗)

御料理ふじ居(日本料理)
・そと(寿司)
山崎(日本料理)
レヴォ(イノベーティブ)

県別に見ていくと、富山はおおよそ予想値だった印象(個人の感想)。
レヴォさんと御料理ふじ居さんは両者共に移転オープンしての躍進。2ツ星獲得というのは本当に嬉しい。けれど、富山からも3ツ星出て欲しかったなぁというのは本音。
レヴォさんは前回1ツ星。2020年12月に利賀村の山奥にオーベルジュとして移転オープンされました。料理人人生をかけての挑戦だったと思います。
そして、ふじ居さんは前回はまさかの星なしで大きく落胆されたことだと思います。が、そこから奮起しての移転オープン。この移転には大きな覚悟が感じられました。そして5年。この5年という年月は実に長く重い日々だったのではないでしょうか。2ツ星が獲得できてふじ居ファンとしてはとても嬉しい限りです。
レヴォさんもふじ居さんも、ご努力・ご苦労が報われる思いだったのではないでしょうか。
ちなみに、前回2ツ星だった海老亭別館さんは、料理の修行をやり直したいということで閉店され、東京名店などに修行に行かれました。それもまたすごいこと。2021年に富山に新店舗オープン予定。次は大料亭ではなく、カウンターでのスタイルにされるはずです。今年大注目のお店です。

「御料理ふじ居」岩瀬に移転し最強パワーアップ。ついに2ツ星獲得!店主藤井寛徳さんの良さが活きている!絶対訪れるべき富山の日本料理店

「日本料理 山崎」意表を突くおいしさの置き方が光る。富山の食材と地酒も豊富。

「L’évo(レヴォ)」谷口英司シェフ率いる究極のローカルガストロノミー。世界に自慢したい富山の秘境レストラン!2ツ星獲得

2ツ星 石川 2021年(12店舗)

・インスタレーション テーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム(イノベーティブ)
乙女寿司(寿司)
片折(日本料理)
すし処めくみ(寿司)
・銭屋(日本料理)
つづら(日本料理)
天ぷら小泉(天ぷら)
・マキノンチ(フランス料理)
・まつ家(日本料理)
・料亭穂濤(日本料理)
レスピラシオン (スペイン料理)
レ・トネル(フランス料理)

石川県の2ツ星が9店舗から12店舗に増加。12店舗というのはレストラン比率でみると他エリアよりも結構多い気がする(気のせいですか?)。しかも、前回は日本料理がほとんどだったのに比べて、他ジャンルも健闘しています。
初登場での2ツ星獲得は、玉泉邸から独立オープンした片折さん。もう金沢を代表する一店として全国で知られています。正直気になるのはここ。片折さんは3ツ星の実力ある(と、思っている方はたくさんいらっしゃるはず)。3ツ星の席数は1と決まっているのかしら?
レスピラシオンさん、レ・トネルさんも初登場!贔屓にしているお店が健闘しているのは嬉しい。あとは、インスタレーション テーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルムさんも初登場。
乙女寿司さん、天ぷら小泉さん、マキノンチ(フランス料理Makino)さん、まつ家さんは前回1ツ星から2ツ星への昇格。すごい。
料亭穂濤(杉の井)さん、銭屋さん、すし処めくみさん、つづらさんは2ツ星継続。さすが実力店は強いですね。

「乙女寿司」金沢の名店のひとつで地元常連も多し。地物で奏でるうまいすし。ずっと通いたい信頼の置ける一店。ミシュラン2ツ星獲得!

「片折(かたおり)」究極の地産地消。研ぎ澄まされた美味しさの先に見える宇宙。もはや日本の頂点のひとつに(※基本的に紹介制)

「すし処めくみ」猛々しく端正なすし!店主山口尚享氏の探求はどこまで続くのだろうか。毎日能登まで出向き自ら調達する珠玉のネタ。冬の蟹三昧、夏の鮑と赤ウニ

「つづら」小松の竹林に肩書のない名店が。

「respiracion (レスピラシオン)」金沢を代表するレストランのひとつ。石川県産食材を使用したモダンスパニッシュ。ますます凄みが増している。

「Les Tonnelles(レ・トネル)」砂山シェフの“Farm to Table”な野菜主役のイノベーティブに注目。ぶどうの木グループが展開するグランメゾン。世界の建築家 坂茂氏による建物もすごい

2ツ星 福井 2021年(2店舗)

鮨十兵衛(すし)
御料理一燈(日本料理)

今回エリアに加わった福井県、2ツ星は2店舗でした。初登場で2ツ星が獲得できるお店ってすごいと思います。
個人的に、福井県は今年重点的に行こうと思っていたので、すでに予約済みのお店もあります。これからどんどん盛り上がってきそうな福井に期待。

「鮨十兵衛」初登場でミシュラン2ツ星獲得!福井を代表するすし店。シゴトの美しさ、存在感と品を置く。

「御料理 一燈」“越味”をテーマとする福井の日本料理店。地物の珠玉食材ふんだんに。ミシュランでは初登場で2ツ星獲得

1ツ星

1ツ星は店舗数が多いので、2021年度分のみ記載しました。

1ツ星 富山 2021年(16店舗)

・四季料理悠(日本料理)
・鮨大門(すし)
・茶寮和香(日本料理)
・ヘルジアン・ウッドザテーブル(イノベーティブ)
カーヴ・ユノキ(フランス料理)
来人喜人はぎ原(日本料理)
・グノン(日本料理)
鮨し人(すし)
・すし処直(すし)
・難波(すし)
・天ぷら小泉たかの(天ぷら)
・トレゾニエ(フランス料理)
ひまわり食堂(イタリア料理)
・富久屋(日本料理)
・ラ・シャンス(フランス料理)
・ランソレイエ(フランス料理)

富山は1ツ星の数が8店舗から16店舗と、グンと増えて2倍になりました。
ひまわり食堂がイタリアンというジャンルで1ツ星を獲得できたというのはすごいことだと思います。また、個人的に好きなお店、鮨人さん、カーヴユノキさん、来人喜人はぎ原さんは前回星なしでしたが1ツ星獲得されており嬉しい。

「カーヴユノキ」それは贅沢なリビングキッチンのような~蔵を改装した余裕ある空間

「来人喜人 はぎ原」メイドイン富山が詰まった日本料理店。スペシャリテの究極ます寿司は何度食べても美味しい!ディナーは食後にお茶室へ。

「鮨人」破竹の勢い富山異色のすし店。赤酢シャリはハマったら抜け出せない。のど黒はオス・メス食べ比べで

「ひまわり食堂」富山で注目すべきイノベーティブイタリアン。田中穂積シェフらしさがより色濃く表現されている。ミシュラン1ツ星獲得!

1ツ星 石川 2021年(26店舗)

・浅田屋(日本料理)
一本杉川嶋(日本料理)
ヴィラ・デラ・パーチェ(イタリア料理)
・エンヌ(フランス料理)
御料理貴船(日本料理)
御料理雅乃(日本料理)
・懐石なか尾(日本料理)
・加賀政(日本料理)
割烹いけ森(日本料理)
・割烹ゆづる(日本料理)
・金澤せつ理(日本料理)
きく家(すし)
蕎味櫂(そば)
SHOKUDO YArn(イノベーティブ)
旬坊さかい(日本料理)
・鮨岡うま(すし)
鮨木場谷(すし)
・すし屋小桜(すし)
・富成(日本料理)
蛤坂まえかわ(焼鳥)
・プレミナンス(フランス料理)
・ベルナール(フランス料理)
町家懐石六花(日本料理)
・ラ・クロシェット(フランス料理)
ラトリエ・ドゥ・ノト(フランス料理)
和田屋(日本料理)

2020年にオープンした新店がランクインしているのが目立ちます。蛤坂まえかわさん、七尾のヴィラ・デラ・パーチェさん、七尾の一本杉川嶋さん。
さらにラトリエ・ドゥ・ノトさんも初登場していて嬉しい。きく家さんは移転後も1ツ星継続。

「一本杉 川嶋」七尾に光る新星!もはや予約困難の日本料理店。建物は元万年筆屋、シンボル的な有形文化財

「villa della pace(ヴィラ・デラ・パーチェ)」2020年11月17日七尾中島の海辺にオーベルジュとして移転オープン!素晴らしいロケーション

「御料理貴船」卓上に咲きこぼれる季節、華やかに。人気のため予約は半年以上先。昼夜4組限定

「御料理 雅乃」端正なおいしさに身を預けたい。塩、出汁、自家製へのこだわり。鰯つみれ、自家製上生菓子が好きです。

「割烹いけ森」珠洲出身の池森大将の端正でパワー感じる料理。金沢市芳斉の一軒家割烹。節分の演出ステキでした。

「きく家」バラック小屋のミシュラン1ツ星すし店が犀川沿いに移転オープン!ギャップが良かっただけではないということを証明!実力を見せつけられる

「蕎味 櫂(きょうみ かい)」ひがし茶屋街の奥に暖簾をかけるそば会席。静寂閑雅な空間で端正なコースに浸る。

「旬房さかい」惚れ惚れするいいシゴト!信頼のおける一店。コース提供になりました。メディア取材拒否の口コミ人気店

「鮨木場谷」氷見と新湊の最上級のネタで奏でる珠玉のすし。さすがの目利き。魚の旨味、熟成で最大限に

「蛤坂まえかわ」鳥しき出身の前川良輝さんが金沢に独立店をオープン!金沢ならではの珠玉食材も織り込む。築100年の町家をリノベーション。すでに予約困難に!

「SHOKUDO YArn(ヤーン)」石川県を代表するイノベーティブレストラン。吟味した地元食材で作り込んだエンタメ。暗号のようなメニュー名が並ぶ。

「町家懐石 六花(ろっか)」杉玉がかかる旧酒蔵をリノベーションした町家懐石。仲間との会食に心強い一店。

「L’Atelier de NOTO(ラトリエドゥノト)」輪島に名店あり。石川県を代表するフランス料理店のひとつ。能登食材の息遣いが聞こえる。

「和田屋」白山比メ神社の境内にある川魚山菜料理の料理旅館。全部屋に囲炉裏完備!料理人さんが鮎を炭火で焼いてくれます。春山菜、夏は鮎、秋キノコと落ち鮎、冬は白山麓ジビエ

1ツ星 福井 2021年(6店舗)

・川㐂(蟹料理)
・馳走飯田(日本料理)
・馳走えん(日本料理)
・茶懐石佳秀(日本料理)
料理屋みや崎(日本料理)
・レ・クゥ(フランス料理)

福井のオススメ店としてよく聞くお店が並んでいる印象。
川㐂さん、馳走飯田さん、レ・クゥさんは訪問済み。馳走えんさんと茶懐石佳秀は未訪問なので、行ってみたいですね。

「料理屋 みや﨑」福井の地物食材にキャビアなどの洋食材を織り込んだオリジナリティーある日本料理

あと、ビブグルマン、プレート、グリーンスターなどありますが、数が多いので、ぜひミシュランガイド本ご購入でお楽しみください。