福井県越前市に2025年2月に突如として現れたイノベーディブレストラン。越前市白山地区で栽培されたブドウでワインづくりを行うワイン醸造所「SIX THREE ESTATE(シックス スリー エステート)」に併設されています。

地元食材や伝統調味料を全てのお皿に使用しており、コンセプトである“越前テロワール”を存分に感じさせ、薪や炭といった原始的な熱源を駆使し、料理を通して土地の輪郭を鮮やかに描き出します。特に“薪”使いは卓越している。さらにイタリアンも強い実力派。越前をイノベーティブな料理としてここまで昇華させる手腕はお見事です。
また、葡萄の搾りかすやワインのオリといった副産物までも料理に取り込み、この場所だからこそ味わえる必然性を感じさせます。味わいの設計は緻密で、一皿の中の細部にまで丁寧な仕事が施されているのが印象的。さらに、ノンアルコールペアリングの完成度も高く、食体験全体に奥行きを与えています。
前回、2025年7月28日に初めて伺って、今回は2ヶ月後の9月27日に2度目の訪問です。
前回のレビューや店舗概要はこちらをご覧ください↓

全部良かったけど、今回のハイライトは、豆 蕎麦、越前-海-、越前-里山-、タリオリーニ、薪焼牛。
(構成が細かくて書ききれないので、感想は上記の総括にて。)

・湧き水 葡萄の葉 お米

・昆布 塩雲丹

・豆 蕎麦
落花生、引き立てのそばで作ったそばがき、青大豆の豆乳。
精進料理をリスペクトした、植物性の一品。

・越前 -海-
越前鮑、黒ニンニク、肝、バジル
ヒラソウダガツオ、焼き茄子エキスソース、ガマエビ(越前海老)、赤パプリカジュース
カンパチと胡瓜
のど黒、えごま葉、青大豆のソース、アーモンド、らっきょう、茗荷、赤ワインビネガー

・越前 -里山-
椎茸のスライスをクロスティーニに美しく並べた料理。椎茸のつるんとした切れ味、食感が鮑のようです。
カボチャ、ビーツ、レンコンを卵黄ソースとへしこ糠オイルで。

・鰻
鰻、伝統野菜 吉川なす、蘭麝酒(らんじゃしゅ)

・紅蟹
タリオリーニは、シェフのお得意。絶妙な細さとシコシコとした食感が美味。
紅蟹、ガマ海老と福知鳥の出汁で

・鱸 薪焼
福井の鱸は熟成で、サツマイモ、舞茸、胡桃と麹、蒸したトマトと松のオイル

・牛 薪焼
大豆から取り出した乳酸菌を飼料にした若狭牛のイチボは、薪焼きにて、葡萄の枝で燻製香をのせて。
本来、この手のサシが入った牛は、私は手がつけられないほど苦手なのですが、薪焼の技術が素晴らしく、脂を切って風味を乗せとても美味です。


・玉葱 越前粘度包焼
玉葱を越前焼きと同じ土で包み、1時間炭のオープンで焼き上げて。みずみずしく甘い。



・しらやまのお米
そしてクライマックスとも言えるのが、薪台で炊き上げられる「しらやまのお米」。ご飯そのものの美味しさは言うまでもなく、ご飯のお供がジオラマのように可愛らしくて心躍りました。

牛時雨 ズイキの酢漬け(すこ)、鰹の漬け ロゼワイン、胡瓜の辛子和え 地辛子、ムカゴ黒胡麻和え 白ワインのおり、ラディッシュ葡萄搾りかす 糠漬け


・だし漬け
そばの実、天然クレソン漬け物、連子鯛のスープがけ(魚と水だけで)

・葡萄

・炭オーブンで焼き上げたヘーゼルナッツのケーキ

六条大麦アイス、栗の渋皮煮を削って

・小菓子
ビオレソリレス、そのジュースとエゴマ
水羊羹は竈門で炊いてワインのオリと
葡萄の枝をクロモジのようにしていただいきます。

2025年オープンしたレストランの中で、私が一番オススメするレストランです。

