滋賀県高島市、琵琶湖の湖西に位置するこの地に、2024年春に誕生した「オーベルジュRUKAWA」。
オーナーシェフの古川満さんと、マネージャー澤田一樹さん、地元出身の幼馴染のお2人によって紡がれる空間は、心温まるおもてなしと、地元食材への深いリスペクトに満ちています。
今回私は、ディナー、サウナ、朝食、そして宿泊までじっくりと体験してまいりました。
↓前回の訪問はこちら(ディナーのみで日帰り)
金沢からのアクセスは、北陸新幹線が敦賀まで繋がったので、敦賀でJR北陸本線に乗り換えて近江今津で下車(駅までお迎えに来てくれます)。今回は車で向かいました。
ちなみにお店入り口に花山椒の木があって驚きました。ディナーにも朝食にも、器に山盛りで出てきてさらにびっくり。
ウェルカムドリンクに地ビールを選びました。抜けの良い長閑な里山の風景が最高です。
建物とお部屋
オーベルジュRUKAWAは、古川シェフのご実家を大規模リノベーションして生まれ変わった建物です。
宿泊はわずか2部屋。自然素材を生かしたインテリアは、ナチュラルでありながら洗練された心地良さがあり、まるで長年馴染んだ別荘に帰ってきたかのような安心感を覚えます。
窓からは田園風景が広が、この地にしかない静寂と、時折聞こえる湖西線を走る列車の音が、旅情をより一層深めてくれました。
愛好家も唸る本格設計サウナ&水風呂ランウェイ
滞在の楽しみの一つは、サウナです。
こだわり抜かれたサウナでは、選べるアロマロウリュウに癒されながら、じっくりと汗を流すことができます。
特筆すべきは、2つある地下水の水風呂のうち、田園の真ん中に設けられた「水風呂ランウェイ」です。
まるでステージのように真っ直ぐに伸びるランウェイを歩き、清冽な水風呂へジャボンと飛び込む体験は、非日常の極み。360度広がる里山のパノラマを背に、ただ自然に抱かれる感覚に身を任せる瞬間は、言葉にできないほどの開放感です。
夜にはランウェイが幻想的にライトアップされ、まるで異世界に迷い込んだかのような体験ができました。
手ぶらで楽しめるように、水着もタオルもアメニティーも充実しているのが最高。飲み物もオールインクルーシブです。
地元食材の極みディナー
メインダイニングは、厨房が見渡せるL字カウンター席で、シェフが料理を仕上げる様子を間近で楽しむことができ、臨場感たっぷりです。
料理には、地元琵琶湖や若狭湾の食材(京都までの鯖街道で高島市が繋がっていた)を惜しみなく使用。
鰻や琵琶鱒(ビワマス)、ジビエ(穴熊や猪)など、漁師さんと猟師さんとの連携も感じられ、ストーリー性もある素晴らしい食材揃い。また、シェフの丁寧な仕込みが光り、数々の料理を目の前でデモンストレーションしながら、2時間半で完結するリズミカルな流れも心地良いです。
琵琶湖にしか生息していないと言われるビワマス(琵琶鱒)、氷魚(鮎の稚魚)、穴熊もスペシャル食材。「本物のうなぎパイ」という遊び心あるメニューにも心が躍ります。
さらに、山盛りの花山椒が登場してびっくり。花山椒の旬は春のわずか2週間。手摘みで収穫される山菜で、希少な食材です。
高級食材としてその価値を確立した花山椒は、春のわずかな期間にしか収穫できない、極めて繊細な食材です。通常の山椒とは異なり、華やかで爽快な風味は、力強さと儚さを併せ持った春の美味。
(料理解説は少し。ぜひ実際に体験してみてください!)
・若狭桜鯛 みぞれ椀
・氷魚と春野菜
鮎の稚魚である「氷魚」と山菜。氷魚は繊細で、透き通るような美味しさに感動があります。
・お造り
琵琶湖ビワマス、若狭ヒラメ昆布締め、ホウボウ、アオリイカ
・鰻 白焼き
皮目のパリッとした香ばしさが美味。ここで味わうと一味違う。
・若狭真鯖 酢〆棒鮨
・山菜 天麩羅
・琵琶鱒藁たたき
ビワマスは藁焼きで風味を添え、レアでなめらかな食感が舌に吸い付くようです。
ビワマスは氷魚を捕食するそうで、お皿の中でひとつに。
・皮剥肝たく手巻き
肝和えにできるのは新鮮だからこそですね。
・本当の鰻パイ
名物料理「本当の鰻パイ」は、炭火で焼き上げた鰻の蒲焼きをクロワッサンでサンドした一品です。バターたっぷりのサクサクとしたクロワッサン生地と、甘辛いタレを纏った鰻は、なるほど本当の鰻パイ。大人の遊び心が光るスペシャリテ。
・猪・穴熊・月ノ輪熊、近江牛すき焼き
RUKAWAのスペシャリテは、”森の美食家”と呼ばれる穴熊。脂の融点が低く、とろけるような甘みを持つ穴熊。今回は部位ごとに食べ比べさせてくれました。食べ比べると脂の質や野生味など、明確な違いが感じられて楽しい。
・アメノウオ・氷魚御飯、赤出汁
ビワマスの炊込みご飯です。ビワマスは雨の日に釣れるので別名”アメノウオ”と呼ばれ、客人のおもてなしにも作られた郷土料理なのだそうです。
・イチゴアイス
心ほどける極上の朝食
気持ちいい朝。まだ夢から醒めさせてくれない最高の朝食が待っています。
鰻、氷魚、シャケ、すじこ、明太子、だし巻き、納豆、お惣菜各種、梅干し、お醤油炊きの山椒の花、田舎味噌のお味噌汁、温泉卵と生卵、高島のお漬物、赤蒟蒻…地方ならではの素朴な味わいが、旅を静かに締めくくってくれました。
田舎ならではの静寂と、地元の恵みを最大限に生かした料理。四季を追ってまた訪れたい。
【店舗詳細】
Auberge RUKAWA オーベルジュルカワ
滋賀県高島市今津町浜分590
0740-20-1351
公式Instagram:https://www.instagram.com/auberge_rukawa/