【木佐貫】2025年7月3日(2度目の訪問)

2025年4月18日、金沢の浅野川沿いに誕生した新星、「木佐貫(きさぬき)」さんに、今回は早くも2度目の訪問です。初回から凄かったですが、今回もさすがの実力と凛とした余白の妙に心を奪われました。
※2025年分の予約は全て埋まっております。

木佐貫さんは、金沢が世界に誇る名店「片折」で料理長を務めていた方です。あの緊張感と美意識の中で研ぎ澄まされた経験が、確かに皿の上に投影されています。そして、物腰柔らかく、それでいて堂々とした立ち居振る舞いは、努力に裏打ちされた実力と自信の賜物で、食べ手にも絶大な安心感をもたらします。

・能登椎茸と山の水の御香煎
澄み切った山の水のおいしさに、能登椎茸の旨味が溶け合うプロローグ。口に含んだ瞬間、まるで森の奥に分け入ったような感覚を覚えます。

・とうもろこし豆腐
素材の持ち味を“引き”で立たせてあり、良い意味での余裕と貫禄が垣間見えます。とうもろこ本来の甘さがとくとくと広がる。

・天然鮎
鮎の季節。天然鮎は塩焼きではなく、ひと工夫。身の部分とシャリで温かい鮎すしに。ほこほことした温度に乗って、鮎の香ばしさとほんのりした苦味が、口の中で優しく広がります。

・お吸い物(鮑、たまご豆腐)
蓋を取った瞬間、品格のある吸地の香りが立ちのぼる。幅広の鮑は、滑らかでてろんとした舌触りが美味。吸地との一体感が高く、シンプルながらその奥行きに思わず溜息がこぼれます。

・お造り ヒラソウダガツオ、アラ、アオリイカ

・磯部揚げ 新湊 白海老のせ
揚げた海苔に剥き身の白海老をたっぷりと乗せた一品。海苔が衣の役割を果たしており、乾いた音が口の中で軽やかに弾け、海苔の風味がパッと広がり、白海老の繊細で奥ゆかしい甘さが広がる。

・氷見のど黒炭火焼き、地元のきゅうり
脂が乗ったのど黒を、炭火でじっくりと焼き上げてあり、口の中で美味しい脂がほとばしる。

・ウミゾウメン
限られた季節しか食べられない海藻で、見た目はまるで素麺のように細く長く、透き通るような淡い緑色をしています。つるりとした喉越しで、ほのかに感じる磯の香りが美味。

・野菜の炊き合わせ
加賀野菜「ヘタ紫なす」は、ぎゅっと身が詰まっており美味。夏の「加賀れんこん」はあっさりシャキシャキ食感。「金糸瓜」もみずみずしくて歯切れが良く、涼を感じます。それぞれの野菜が持つ個性を生かしながら、全体は静かに調和。

・沢煮椀
お野菜は針のように細く、驚くほど正確に、均一に切り揃えられ、まるで絹糸のようです。包丁技術の高さを無言で伝えてくれる一品。

・能登岩牡蠣

・水ぶき信田巻き
フキの青い風味と滋味が懐かしさを誘う、心が震える古典レシピの再現。素晴らしい。

・お食事
ご飯は能登ひかり。
付け合わせは、ホタルイカ沖漬け、きくらげ山椒煮、きゅうり浅漬け、トマト。
味噌汁には猪肉を用い、野趣あふれる旨味と甘みが、大地の力強さを感じさせる。

おかわりは、漬け丼にたまごかけご飯、梅茶漬け。


・木の芽のわらび餅
食後のわらび餅は、透明感と清涼感に満ち、弾力と柔らかさの絶妙なバランス。木の芽の香りがそっと鼻に抜け、この季節の締めにふさわしい涼やかさ。ここにも素材を生かしながら、遊び心を忍ばせるセンスが光ります。

店名:木佐貫(きさぬき)
住所:石川県金沢市常盤町15-3
営業時間 17:30〜 一斉スタート
価格帯 コース30,000円〜(税サ別)時期によって価格が前後することあり ※キャンセルポリシーあり

「木佐貫」片折料理長の独立店!ついに2025年4月18日にオープン。すでに完成されている!金沢の名店誕生