同店は2023年9月3日(日)にて閉店し、パン工房を新竪町の「シンタテベイクストア」に移設されるそうです。
(※過去のレビューは参考までにしばらく残しておきます。)
金沢市寺町にある、キラリと光る注目のベーカリー。オープンしたのは2020年3月28日です。
店主の若井夏輝さんの修行先や出身店はべーカリーだけではなく、フランス料理店やイタリア料理店なども経験しているので、フィリングがやけに美味しかったり味の組み立てが料理寄りな気がします。
お店の場所は、犀川にかかる桜橋を渡って、軽くS字になった勾配の大きい新桜坂を登りきって左手に進んだ大通り沿いの一角。店名通りまさに坂の上にあるベーカリーです。リピーターとなったお客さんがひっきりなしに訪れており、途絶えることがない様子でした。
さらに、2023年4月12日に新竪町商店街の一角に姉妹店「シンタテベイクストア」がオープンしました。ここだけ限定のパンも注目。
私はパン・スイーツは全然詳しくないので種類や酵母のことなど細かく解説できないですが、ここ寺町にあった「大丸堂」から譲り受けたレーズン種や、寺町で起こした小麦種の天然酵母、髙木糀商店の米糀を使用して、オリジナリティーのあるパンを作られています。
パンはディスプレイされているものから選んで、お店の方が取ってくれるスタイル。
センスに溢れるパンの数々に興味津々。解説してくれると、ウキウキしてきてついついたくさん買ってしまいます。
大きなカンパーニュも!
焼き上がりの臨場感が感じられるのも同店の醍醐味。
個人的に好きだったのは、レーズンパン、チーズカレーパン、自家製ピーナッツクリーム、飛び出しクリームパン、たろうのあんぱん、クロックムッシュ。
●レーズンパン
ウズベキスタン産 小枝付きサヤキレーズンを使用したスペシャルレーズンパン。
とっても美味しかった。次もあったら必ず買いたい。
通常のレーズンより2倍の大きさで、色味も紫よりも黒に近く、ギュッと凝縮してエレガントな甘さで、みずみずしくプルーンに近い味わい。プレーンなパンドミにも相性良く、咀嚼するほど味わいが広がっていくのも美味。
●カレーパン
この日のカレーパンはスパイスしっかり目で好みでした。
●チーズカレーパン
中はたぷたぷと美味しいカレーたっぷりで、食べ応えありました。カレーパンはいろいろな味を順次出されているようなので、毎回楽しみにしたい。
●ヨモギあんぱん
創業天保8年(1837年)、小松で一番歴史の深い和菓子店「行松旭松堂」(石川県小松市京町39-2)さんのヨモギ餡を、自家製チーズクリームと、セミハード生地にサンド。春の青い風味と貫禄が感じられるあんぱん。色合いも可愛らしい。
●たろうのあんぱん
金沢の和菓子店「茶菓工房たろう」さんの和菓子職人が炊いたあんを使用したあんぱんで、キューブ型のデザインも特徴的。通常はモナカに使用しているあんで、米飴入りで艶やかでややどっしりとしており、バターがぴったりの相性。ブリオッシュ生地はたまご感を抑えることであんの風味を生かしてあります。また、ほんのり効かせてある塩気であんの輪郭が一層引き立ちます。
●バゲットリエット
能登豚のリエットは舌触りがとても滑らかで美味。このリエットはレストランの味。生地は雑穀入り。
●おやきあんぱん
●自家製カレーパン
能登豚のスネ肉を煮込んだ自家製カレーがたっぷり。
●自家製ピーナッツクリーム
ヴィエノワ生地に自家製ピーナッツクリームをサンドしたパン。粒感を残した粗挽きのピーナッツが美味。保存は効かないけれど、甘さを抑えて素材を生かし、繊細に仕上げてあるのも若井さんらしい。
ヴィエノワ生地の発酵種は、寺町にあった大丸堂さんから譲り受けたもの。
●飛び出しクリームパン
ネーミングの由来は、クリームパンを焼くときに失敗してクリームが飛び出してしまった様の愛おしさから付けられています。販売の商品は飛び出していません(笑)
ニッコリ微笑むクリームパンを半分に割ってみてまず驚きがあるのが、オレンジに近いクリームの色の濃さ。夕張メロンのような色ですが、卵黄の色です。特にうたっていませんが、実はこだわりの卵をお使いで、原価大丈夫なのかなと心配になるくらいです(笑)ふるふるもったりしていて口の中が至福。
●5種のフロマージュ
ラインナップの中にチーズなど食事系があると魅かれちゃいます。5種類のフロマージュが口の中で次々と現れてグラデーションを描き調和していきます。
定番商品はもちろん、これからの新作もとても楽しみなベーカリーです。私も通います。