(※紹介制なので住所や電話番号などの詳細は記載しておりません。)
魚津の超名店居酒屋が、2023年8月20日に岩瀬に移転オープンしました。紹介制なので訪問の難易度は高いですが、食べ歩き好きな人ならば同店の常連さんや予約を持っている人と繋がる可能性は高いかなと思います。
富山の岩瀬はかつて北前船で栄えた港町で、銘酒“満寿泉”の酒蔵「桝田酒造店」さんがある場所として有名。その桝田酒造店さんがこの岩瀬を盛り上げたいと街づくりをされ、「カーヴ・ユノキ」さんや「御料理ふじ居」さんをはじめとする多数のレストランが集まっており、注目されています。お蕎麦と日本酒コースの「くちいわ」さんも朝日町から移転されました。さらにビール醸造所「KOBO Brew Pub」や陶芸家 釋永岳さんの工房もあって、かなり面白い街です。ここに来ればギュッと凝縮された濃いめの富山が一気に楽しめます。
ねんじり亭さんの席数はカウンターに8席で、店主と娘さんのお2人で切り盛りをされています。
魚津ではアラカルトメニューの居酒屋スタイルでしたが、現在はお客さんの人数も限られていて、1回転のみで、コース提供で店主が気に入ったものだけ出せるので、とても楽しそうです。
料理は、居酒屋・漁師料理のブラッシュアップ版で、とてもシンプルだが完成されていて記憶に残ります。
特に後半戦からの展開が面白く、毛蟹の醤油漬け、ゲンゲのお吸い物、白海老の山芋揚げ、鰤大根、ご飯とカラスミがインパクトありました。
日本酒は満寿泉でラインナップされています。
●メダイの粕漬け、甘酒
●牡蠣旨煮、豆腐味噌漬け、ビタミン大根もろみ味噌、鯵南蛮、ブロッコリー塩麹
●刺身
魚は魚津のみ。魚種がかなり充実していて、この日は全部で13種類もありました。次から次へと、安田泰三さんのガラス皿に1種類ずつ切って出してくれるのですが、かなり怒涛の連打。全て白身で、普段食べないレアな魚種もあり。盛り合わせではないので映えはしませんが、良いコンディションで食べられます。熟成魚はなし(というのが漁師町育ちの個人的には好感持てます)。
全て塩でいけますが、お醤油と山葵も準備してあります。ほんのりピンク色をした塩は、ヒマラヤ岩塩など3種類のブレンド。
どの魚種にも共通して言えるのが、とてもクリアでさくさく食感もあって、ほど良い水分量であること。
ここのパートが結構充実していました。店主が自身持っている部分なのだと思います。
①メダイ4kgアップ、②チカメキントキ、③イシダイ、④ヒラメ、⑤鯵、⑥ホウボウ、⑦アオハタ、⑧クロソイ、⑨マダイ、⑩コショウダイ、⑪クエ、⑫鯖、⑬クロムツ
●鰆 焼き物
●毛蟹の醤油漬け
なんとこれは驚き!なんと毛蟹の醤油漬けです。眼福。
香箱ガニはありますが、毛蟹は初めて。
全員が一口味わって「やられたー」という顔に。言わずもがなこの塩気とコクは酒泥棒で、満寿泉が進む進む。カニ足にディップすると、みずみずしい甘さが加わって悪魔的美味しさに。目尻が下がる。
●ゲンゲお吸い物
ぬるぬるとした分厚いゼラチン質に覆われた深海魚。石川県では日常的に食べられることはなく、ゲンゲと言ったら富山。
透明感のある身が吸地をゆらゆら。漆塗りの器も良く、ぽってりと舌に当たり、ゲンゲが口の中にとぅるんと滑り込んできます。出汁は骨から取ったもので、どことなく艶のある飲み口でまろみがあり、深い旨味が胃袋から全身に染み渡るよう。これは絶品。
●毛蟹 身
●かぶらずし
かぶら寿司と言えば麹で漬け込む北陸の冬の伝統食で、魚は鰤が定番ですが、こちらは麹は使わずに魚もメダイを使用という型にはまらないかぶらずし。しかしながら、浸かり具合も酸味や塩気も絶妙で、完成されていました。
●白海老の山芋揚げ
大将が35年以上作り続けている名物料理。
山芋と白海老を練って拳大にして揚げ、出汁がけに。山芋がどっしりとしていて素材の美味しさにインパクトあり、さらに熱々の温度と共に品のある白海老の風味が重なります。スペシャリテに納得。
●鰤大根
鰤が見当たらない鰤大根。鰤は出汁としてだけ使い、味の染みた大根が主役です。
そう、鰤大根って鰤は味が抜けてスカスカになっていることが多くて、大根が美味しいですよね。
このドシンプルさに納得。酒粕を少し効かせて、まろやかで深みがあり、黄柚子胡椒でピリリと引き締めます。
●お食事
圧力釜で炊いたご飯は艶々していて、みずみずしく甘い。まずは一口そのまま食べて美味しさに浸り、そのあとは、カラスミをドデンと乗っけて思うがままに。余計なものはいらない。このうまさに浸れる贅沢。無言で食べました。
●抹茶プリン
給仕をしている娘さんはパティシエでもあるそうで、デザートを担当。抹茶の苦味と風味が効いた、ミルキーで美味しいプリンでした。