【comer × 砂山シェフ】北川悠介シェフのカタルーニャ料理に砂山シェフの代名詞である野菜料理がフュージョン!新作ぞくぞくと

2023年3月8日・9日・10日に金沢「comer(コメール)」さんで開催された、同レストランのオーナーシェフ北川悠介氏倉繁和也氏砂山利治シェフとのコラボレーションディナーに参加しました。

comer」は、ミシュランガイド2ツ星獲得店である金沢のモダンスパニッシュ「respiracion(レスピラシオン)」が木倉町商店街に展開するガストロバルです。

そして砂山利治シェフと言えば「レ・トネル」(金沢市)の元シェフとして知られますが、それより以前は、2015年からフランス「La Grenouillère(ラ・グルヌイエール)」で腕を振るい、スーシェフを務めたという経歴の持ち主です。1ツ星から2ツ星に昇格した際もいらっしゃいました。レ・トネルも砂山シェフ在任中に「ミシュランガイド北陸2021 特別版」2ツ星獲得(2021年5月19日発表)しました。さらに、2022年(7月24日放送)「CHEF-1グランプリ」決勝進出。
ちなみに砂山シェフは、奈良県の天川村にて2023年レストラン開業に向けて準備中です。

今回のコースで特徴的だったのは、砂山シェフの代名詞である野菜料理と、開業準備中の奈良県の珠玉食材を織り込んであること。
北川シェフのカタルーニャ料理に、砂山シェフのエッセンスが調和した、このポップアップでしか食べられないスペシャルコースでした。
特に印象的だったのは、天川村の三輪素麺 玉ねぎソース。さらに、白人参のヘーゼルナッツロースト、ビーツコロッケ、畑のアイス、バラのマドレーヌです。

●牡蠣、鹿、クレソン
一品目は、日本鹿と牡蠣と岩海苔という山海を組み合わせたタルタールで、大地の味わいに潮騒が吹き込みます。鹿のコンソメもひんやり冷たく綺麗な味わいで、奥深いコクに落ち着きがあり美味。

●寒鮒、八朔
福井県産の寒鮒は、隠れた美味食材。ネガティブな雑味なく、爽やかな柑橘に合わせてもすんなり調和します。中島菜と藪萱草とナスタチウムの野趣に、ふきのとうオイルで春の風味を加え、蓮根ソースで。

●白人参
今回のコースで印象的だった、面白い組み合わせの一品。
30分ローストした白人参は、意表を突いたねっとり食感で甘さがググッと引き出されており、ヘーゼルナッツの馥郁たる香りが口の中で膨らむ。一呼吸置いて、シードルを煮詰めたソースの凝縮した味わいと華やかな酸味が広がり、持ち上げる。

●マハタ、サフラン
8キロアップのマハタは面の広さからも魚体の大きさが伝わります。炭火焼きにて、レア感を残した抜群の火入れ。
もう一つの主役と言えるのが、砂山シェフが惚れ込む山梨県産のサフラン。国産サフランがあること自体あまり知られていませんが、最近シェフがよく使っているやつです。
とにかく風味が鮮烈で、これを知ってしまうといつものサフランに戻れないことに納得。
野蒜、チーマデラーパと。

●天川村 三輪素麺、新玉ねぎ
これは衝撃の美味しさでした!
日本三大そうめんの一つが奈良県の三輪素麺で、奈良がそうめん発祥の地と言われます。砂山シェフがレストラン開業準備中である奈良県の天川村の三輪そうめんは、日本一細いと言われているそうです。
口に入れたとき驚くのが、この極細そうめんのベルベットの舌触り。糸のように細く絹のようにしなやかで、新玉ねぎピュレの天然の甘さと日向夏の酸味が絡み、口の中が天国。
これはまた食べたい!
それにしてもここまで細く手延べ出来るとは。

●蝦夷鹿タン、セルバチコ
鹿タンは赤ワイン煮込みで、里芋ソース、バターの風味香るセルバチコブーケを添えて。

●奈良県の倭鴨(やまとがも)、猪団子、ビーツソーセージ
倭鴨は合鴨で、赤身があっさりクセのない印象でした。
それにしても個体が大きい。丸で準備できるのはやはりポップアップの醍醐味!


ローストはもちろんなのですが、ビーツのソーセージが秀逸でした。
ビーツと鴨と猪を合わせたコンビネーションは、さすが砂山シェフ。薄い外皮に内包されたビーツは美味しさがMAX値でパンチ力あり、見た目通りのビビッドな味わいで鴨と鹿に抜群の調和。

●活縞海老パエリア、ルイユ
海老のパエリアは定番ですが、なんと“活”縞海老を乗せたパエリアです。

パエリアの焼き上がりを逆算して、まだ水槽を泳いでいる元気な縞海老を身剥き。それをパエリアに乗せて、予熱で火が入っていくという新しく贅沢なパエリア。パエリアの上の縞海老はまだ生きてました。
筋肉がまだしっかりしていて、跳ね返す弾力あり。

●畑のアイス
砂山シェフの名物料理に畑のサラダがありますが、この畑のアイスの方が料理度高い気がしました。常に研究されているんだなぁ。
オゼイユのアイスにあんがとう農園さんのハーブ、仕上げにラベンダーのスープを注ぎます。
緑の風味に妖艶なラベンダーが溶け合い、これこそ“ハーモニーを奏でる”という表現がピッタリだ。
素晴らしいデセール!

●バラのマドレーヌ
砂山シェフがポップアップごとにオリジナルフレーバーで作ってくれる、遊び心溢れるお菓子です(福井の時は黄金梅だった)。
しかもサイズがジャンボ!
小菓子じゃなくて大菓子で、インパクトあるし、お客さんもポップアップならではの楽しさが味わえる。最後に盛り上げてくれるやつです。
特筆すべきはやはり味。美味しさでも素晴らしかった。バラのジンで骨太なベースを作り、さらにバラの花をたっぷり入れて。パァァアと口の中が鮮烈なバラの香りでいっぱいになる夢のようなお菓子。しばらく余韻に浸りました。

「comer(コメール)」2ツ星レスピラシオンが展開するガストロバル。北川シェフのカタルーニャ料理がすごい!要注目