「respiracion(レスピラシオン)」リニューアルオープンして凄みが増している!自家製調味料、自家農園にて野菜栽培も。細部に神が宿る。金沢が世界に誇るモダンスパニッシュ

料理: 9.0 その他: 9.0 ポイントについて
respiracion (レスピラシオン)
営業時間 【昼】11:45 一斉スタート、【夜】17:45 一斉スタート
定休日 月曜日を中心に月6回
価格帯 コース24,000円、11月12月は26,000円、年末は30,000円
訪問回数 13回(改装後2回、改装前11回)

金沢を代表するレストランの一つ「respiracion(レスピラシオン)」は、改装後からさらに突き抜けていて素晴らしいと思いました。新しい歩みが始まっている!

同店はミシュランガイドで2ツ星を獲得。
オープンしたのは2017年7月4日のこと。2024年7月4日で7周年を迎え、8年目がスタートします。
さらなる飛躍を目指すためにと、主に厨房を広げる店舗改装を行い始めたのが2023年夏。約4ヶ月かけて工事が完了。
厨房スペースを広くしたことによって、発酵調味料や発酵食品まで自家製にて突き詰めて作るようになり、独自性が色濃く出ておりました。味わいも探求し、細部に神が宿っておりましたよ。

さらにレスピラシオンの畑「レスピファーム」を郊外に作って、野菜や薬味もいくつか自家栽培をはじめ、料理に数々登場しており、かなり突き抜けていましたよ。パワーアップしたレスピラシオンにぜひ行って欲しいです。
シェフも意気揚々と料理をしていて、こちらも心から楽しめました。

シェフは小学校からの友人である3人の、梅達郎さん、八木恵介さん、北川悠介さん。
現在レスピラシオンにいるのは、梅シェフと八木シェフで、北川シェフは姉妹店「comer(コメール)」にいます(こちらも超人気)。
みなさん食通なら知らない人はいないスペインの星付きレストランなどで経験を積み、皆の夢を結集させ形にしたのがこのお店。男のロマンが詰まったレストランです。
さらにソムリエ金村俊宏さんをはじめとするサービス陣が素晴らしく、レスピラシオンの“チーム力”がバシバシと伝わりますよ。

店名の「respiracion」はスペイン語で“呼吸”の意。
場所は、金沢市博労町。と言ってもピンと来ない人のほうが多いと思いますが、近江町市場からほど近くです。建物は明治初期以前から残る町家で、できるだけ現状を壊さずに改装されたそうです。店頭の金色の看板をお見逃しなく。

玄関入るとまず見上げるほど高い吹き抜けとステンドグラスに驚きます。この色板硝子は尾山神社の神門と同じものと言われているそうです。
2021年1月に、築150年の蔵を改装したウエイティングルームができました。まずはこちらでお茶を頂いてからメインダイニングに移動となります。蔵の中央に鎮座するテーブルは、石川県の地形をイメージしたもの。

以前までの記事はこちらに。

レスピラシオンのスペシャリテ
コースの冒頭に必ず出てくる甘海老を再構築した一品は、オープンから作り続けているスペシャリテ。リニューアルオープンをきっかけに器も新調されました。美しい器。

甘海老を一旦分解して、海老味噌の部分でシートを作り、塩麹でマリネした身の部分に被せてあります。この塩麹が現在自家製のものになり、オリジナリティがアップ。おいしさも増していました。
タルトは、殻や尻尾を焼いて粉末にし、生地に練り込んで2mmに仕上げます。摘んで一口で口に放り込むと、まずはひんやり甘い身の部分が舌に当たり、鮮烈な甲殻類の風味と香ばしさが追いかけてきて口いっぱいに広がります。

2024年9月14日 能登の海、舞茸、スッポン

※品数が多く、内容が濃いので、解説が一部なところもあります。

9月6日に底引き網は解禁されたとはいえ、まだ北陸は食材が薄い時期であると思ったのですが、それを微塵も感じさせない趣向を凝らしたコース内容に拍手です。素晴らしい!
コースの構成も素晴らしいし、特に、能登の海をテーマとした一品、舞茸、ヘタ紫茄子、鹿、すっぽんのアロスカルドソに感動しました。

飲み物は、最初はオリジナルノンアルコールドリンク、ジャスミンティーから、そのあとはワインをペアリングしました。

●甘海老 スペシャリテ

●鰹/モロヘイヤ/もずく
迷い鰹の一品。能登の海をイメージした一品で、昆布を器にしてあります。
薪焼きで風味を乗せ、加賀野菜”加賀太きゅうり”、コリアンダー、オカヒジキ、モロヘイヤ、もずく、さらにタコの頭の出汁の香味野菜ソースで、複雑で軽やかな印象。

●舞茸
カンパーニュの端切を集めて発酵させたものを味噌にし、そこに舞茸に漬け込むことで、酵素で舞茸が柔らかくなり味も骨太になっており、薪で焼き上げることで、しっとりふわっとした食感に。猪や熊のジビエスープを注いで。カカオと七面鳥、舞茸サブレと。

●赤いか/黄色トマト
アカイカは旨味を引き出して、身の中心だけを麺のようにスライスして使用。そのため甘さがダイレクトに伝わり、ねっとりとした甘さの白海老にも同調する。黄色トマト、バターナッツと。

●ヘタ紫茄子/熊
”ヘタ紫茄子”は、限られた生産者が作る珠玉の加賀野菜。
薪焼きで、七面鳥の出汁とオリーブオイルを表面に塗りながら焼き上げ、熊のラグー、薪の香りのベシャメル、能登115の泡ジュレと共に。
ヘタ紫茄子は小茄子ですが、ギュッと旨みが凝縮されており、熊のラグーと相性が抜群。素晴らしい逸品!

●パン
パンは自家製酵母の2種類。
1つは15穀米のカンパーニュで、アントシアニンの味わいがしっかり出ていて、私はこちらがとても好き。
もう一つは、金沢六条大麦とセイズファームのメルローの酵母です。

●九絵

●鹿
見るからに美しい、パーフェクトな火入れの鹿はシルクの舌触り。添えてある球状の揚げ物は、鹿のスパイシーハツボール。鹿の血を入れた生地で包んで揚げてあり、深い味わいをスパイスの可憐な風味が持ち上げます。

●パエリア鰰
ハタハタのフリットを乗せたパエリア。パエリアのお米の凝縮された旨みの余韻がすごい。

●すっぽんと生姜のアロスカルドソ
パエリアの後にもう一品、お米の料理。お米がすっぽん出汁を吸い込んでおり、口の中で生姜の風味と広がり、優しく胃袋に落ちていく。美味。

●能登杉
口に入れた瞬間に能登の山の中に連れて行ってくれる、杉のデセール。グラデーション的に、一呼吸置いて訪れる、雅な抹茶の風味。

●加賀しずく/宝達葛
見た目からみずみずしく潤いがあり、清楚で透明感があり、加賀しずくの素材の美味しさを上手に昇華させてあって、素晴らしいと思いました。
宝達葛のシート、穴水のヤギのクランブル、セロリのジュース

●小菓子、ハーブティー
食後の余韻は4種の小菓子と、フレッシュハーブティーで。
半月に折ったクレソンとブッラータのお菓子の、滋味とフレッシュな味わいが美味。

2024年6月28日 鮎、ズッキーニと七面鳥、ヘタ紫茄子

※品数が多く、内容が濃いので、解説が一部なところもあります。


今回はおひとり様訪問にて、厨房の中の特等席「シェフズテーブル」でのお食事でした。
臨場感、温度感、息遣いまで感じられて最高に楽しい。

●甘海老 スペシャリテ

●スナップエンドウ
今シーズン名残のスナップエンドウだそうです。カボスの木で炙って、ブラータチーズを添え、アーモンドとニンニクの香りを移したアホブラータを仕上げにかけて。スナップエンドウの薄く柔らかい外皮から、みずみずしいジュがピュッと弾ける。優しいスモーキーな風味とフレッシュなミルクの味わいが口の中で溶け合い美味。

●鮎
浅野川の天然鮎。

その光景をそのまま切り取ってきたかのような、躍動感のある姿でお料理に。骨までサクッと行けるちょうど良いサイズ感でした。
ソースは、新玉ねぎを発酵させてライムジュースと合わせたもので、甘さのある酸味が鮎にピッタリ。ワラビのピクルス、フェンネル、木の芽。

●ズッキーニ/ヨモギ/七面鳥
馬場農園さんのズッキーニは、2種のお料理として。
まずは、2層に分かれた涼しげなムース。ズッキーニピクルス、宇出津のワカメの出汁、じゅんさい、白山麓の山ヨモギのオイル、それぞれが持つ緑の風味が複合的な美味しさを完成させています。

もう一品は、ズッキーニ1本を丸ごと農口尚彦研究所の酒粕とゴルゴンゾーラでコーティングし、3日間粕漬けのようにマリネしてから、脱水して焼き上げた料理。花の方には、なんと、もうお目にかかれないと思っていた阿岸の七面鳥が入っておりました。胸、もも、砂肝を白山白峰で採れた天然葉わさびで巻いて詰めてあり、七面鳥の鶏油を塗ってオーブン焼きに。火入れも抜群で、パワーと品のある味わいが繊細なズッキーニにピッタリでした。

●パン
パンは2種類。こちらも自家製酵母になりました。
1つは15穀米のカンパーニュで、アントシアニンの味わいがしっかり出ていて、とても好みでした。
もう一つは、金沢六条大麦とセイズファームのメルローの酵母で。

●ヘタ紫茄子/熊
加賀野菜の一つでもあるヘタ紫茄子を薪焼きで、七面鳥の出汁とオリーブオイルを表面に塗りながら焼き上げ、熊のラグー、薪の香りのベシャメル、能登115の泡ジュレと共に。驚いたのは、春獲れの熊で作ったのラルドを仕上げにハラリと乗せてあること。
ヘタ紫茄子の、凝縮した可憐な味わいにうっとりし、ラルドで旨味の奥行きがグンと増している。素晴らしい美味しさでした。

●シロソイ
シロソイ、川さんのトマト、エゴマの実の塩漬け、金沢港であがったさまざまな魚のスープ、剣先なんばと。

●上田農園トマト
上田農園さんは、月の満ち欠けで収穫を決める探求型の凄腕農家さんです。シェリービネガー、ハマナスの花と。

●鹿
見るからに美しい、パーフェクトな火入れの鹿はシルクの舌触り。添えてある球状の揚げ物は、鹿のスパイシーハツボール。鹿の血を入れた生地で包んで揚げてあり、深い味わいをスパイスの可憐な風味が持ち上げます。

●岩牡蠣パエリア

●白ガスえびのカルドソ
絶品!これは素晴らしい。高級食材である白ガス海老の、高貴な味わいを昇華させた一品。
ホッと一息に味わうつもりが、後半戦ここで盛り上がりました。

●能登杉
口に入れた瞬間に能登の山の中に連れて行ってくれる、杉のデセール。これは新発想、新感覚。この風味に脳が支配されました。

●とうもろこし/マンゴー
薪で焼いたとうもろこしのアイスは太陽の味わい。黒蜜、フレッシュのマンゴー、レモン、マリーゴールドで、元気のある南国の味わいに可憐さも演出。

●ミニャルディーズ、ハーブティー

「respiracion」で使用している器、食材など紹介(敬称略)
【器】
辻和美・secca・竹俣勇壱・森岡希世子・艸田正樹・喜八・山田睦美・保木詩衣吏・結城彩・山崎貞明・HANASAKA・FUTAGAMI・能登ヒバかほり箸・金沢二俣和紙・中井波花・藤田和・高梨良子・我戸幹男商店・藤丸枝里子
【食材】
農口尚彦研究所・中田洋助・蓮だより・きよし農園・あんがとう農園・阿岸の七面鳥・magazzino38・高農園・堀他・上林金沢茶舗・のとじま海塩・内田智子・角花豊・重福水産・笠間農園・里山備忘録・岩田商店・弘法池水
【空間】
ハルナツアーキ・MMA・竹田建設・アースリング・(株)沢工務店長尾大樹・左官工房 山岸・菊地家具製作所・
totem・Cazahana・ Rebellefleur・大村大悟・竹山紙器・しんち林業・大森慶宜

「comer(コメール)」2ツ星レスピラシオンが展開するガストロバル。北川シェフのカタルーニャ料理がすごい!食べログ百名店

「PiSO しあわせチーズ」レスピラシオンのバスクチーズケーキが絶品!お土産にも喜ばれる

【ピソカナザワ】金沢土産に注目の新商品登場!あのレスピラシオンが手掛ける第2弾は金のフィナンシェ。2024年6月14日発売開始!

「やいとい亭」手頃でうまい焼肉ホルモン人気店。赤身カルビの“秒でやいとい亭”と、大判リブロースの“さっとやいとい亭”必食!